放送回 | No.0240(0150-A) |
放送日 | 1978年09月09日(昭和53年09月09日) |
出典 | 埼玉のむかし話(日本標準刊)より |
クレジット | 演出:森田浩光 文芸:沖島勲 美術:内田好之 作画:白梅進 |
ナレーション | 市原悦子 |
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昔、秩父の日野沢(ひのさわ)のある村に、ものすごい力持ちの大べえ(だいべえ)という若者がいた。
働き者の大べえは、自分の小さな畑の仕事が終わると、他の村人たちの畑仕事などを手伝って暮らしていた。力持ちで心優しい大べえは、力仕事を頼まれると快く引き受けるので、村人たちからも頼りにされていた。
ある日、木こり仕事を頼まれた大べえは、ものすごい怪力パワーで大木を次々に切り倒していった。木こりたちもそんな大べえも褒めそやし、怪力の噂が隣村まで広がるほどだった。しかしある日を境に、大べえは自分の力を慢心するようになり、村人たちの畑仕事は断るようになった。自分は”城峰山(じょうみねさん)の天狗様より力持ち”だと、ホクホクしていた。
ある時大べえは、特に巨大な大木を切り倒そうと鉞(まさかり)を振るった。やがて日も暮れ他の木こりたちは家に帰ってしまったが、大べえは自分の大力に酔うように鉞をふり続けた。「大力大べえ知らねぇかー、天狗様より力持ちー」とっぷり日が暮れた篠沢の村には、大べえのかけ声と鉞の音だけが響いた。
その夜、強い風が吹いたかと思うと、地響きを伴い何やら大きな音がした。夜が明けて木こりが外へ出てみると、大べえの家の上に山のような大岩がどっかりとあった。本物の天狗の仕業だろうか、大べえは天狗に連れ去られたのか、ぺちゃんこになったのか、と村人たちは噂した。
近くの山の杉の木のてっぺんに、大べえの鉞が突き刺さっていたのを見た人がいたという。
(紅子 2011-11-18 20:24)
地図:城峰山 |