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島になったおばあさん(しまになったおばあさん)

放送回No.0236(0147-B)
放送日1978年08月19日(昭和53年08月19日)
出典松谷みよ子(講談社刊)より
クレジット演出:矢沢則夫 文芸:沖島勲 美術:宮本清司 作画:矢沢則夫
ナレーション常田富士男

孫の帰りを待つため島になることを望んだ可哀想なお婆さんのお話

昔、アイヌの民はコタンと呼ばれる集落を作り、森で獲物を取って暮らしておりました。ところがある時を境に、森で獲物が極端に取れなくなり、別のコタンと獲物をめぐって争いがしばしば起こるようになりました。

コタンの酋長のエカシは思い余って、相手のコタンの酋長に話し合いを持ちかけようとしましたが、その矢先に、相手のコタンが強襲してきてしまいました。エカシは大怪我をしてしまい、おばばに自分の幼い息子、トンクルを託しておばば達にこのコタンから逃げるように言いました。

燃えるコタンを後にしておばばは必死になって孫を守ろうと走りましたが、父が殺されたことを知ったトンクルは「仇をとる」と言って、元いたコタンの方へ走っていってしまいました。おばばは心労のあまり倒れふし、気がついた頃には夜になっていました。

疲れた体を引きずって、やっと思いで元のコタンにたどり着きましたが、既にそこには誰もおらず、トンクルの姿はどこにもありませんでした。変わり果てたコタンに座り込むおばばには、もう泣く力も残ってはいませんでした。

翌朝、おばばは声も限りにトンクルの名を叫び探し続け、摩周湖のほとりへやってきました。すると山の神カムイヌプリが現れて、なぜそのように嘆いているのかを尋ねました。おばばは事の一部始終を話し、「山の神様、私を島にしてください。そしてどうかこの湖にいつまでも置いてください。私はここでトンクルが帰ってくるのを待ちたいのです」

カムイヌプリはそんなおばばの心にうたれ、おばばを摩周湖の島にしてあげました。それからというもの、おばばは摩周湖に人がくるとトンクルが帰ってきたと思って泣くので、どんな晴れた日でも必ず雨が降り、雪がふるのだそうです。

(投稿者:もみじ投稿日時2012-8-21:57)


地図:摩周湖のカムイシュ島

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