京都の永福寺に、善光(ぜんこう)という若いお坊さんと年老いた母親が住んでいました。
ある時、母親が大変重い病気になり、それを案じた善光は母親が食べたいという「タコ」を買いに行くことにしました。しかし、仏に使える身である善光は、生き物の殺生は禁じられていましたので、困ってしまいました。
母親の命には代えられない、とやっと決心した善光は、タコを買いに魚屋に行きました。魚屋は、坊さんの姿では買いにくいだろうと、嫌がる善光を女装させてタコを持たせました。善意とはいえ、女装したお坊さんは逆に目立ってしまい、善光はお寺まで必死に走りました。
なんとかお寺までたどり着くと、近所の口やかましい和尚さんが立ち話していました。案の定、この和尚さんに生臭い臭いを感づかれ、無理やり桶のふたを開けられてしまいました。しかし、中からはタコではなくありがたいお経の巻物が出てきました。
善光自身にも一体どうした事かわかりませんでしたが、薬師如来様のしてくれた事と思い感謝しました。おかげで善光は母親にタコを食べさせることができ、病気もすっかり良くなりました。この薬師様はタコ薬師様と呼ばれ、今での多くの信心を集めています。
(紅子 2011-12-25 2:09)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
VHS情報 | VHS-BOX第6集(VHS第54巻) |
現地・関連 | お話に関する現地関連情報はこちら |
場所について | 永福寺(蛸薬師堂永福寺) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第25巻-第122話(発刊日:1978年10月30日)/国際情報社BOX絵本パート1-第054巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第032巻(発刊日:1980年11月) |
サラ文庫の絵本より | このおはなしのように、ありがたい仏さまや、偉いお坊さんの奇跡を伝え、社寺の由来を説明することを「縁起ばなし」といいます。日本には、こうした縁起ばなしが全国各地にたくさんのこっていますが、なかでも弘法大師にまつわるものが、数の多い事で知られています。ところで、この物語の主人公がお祈りする薬師如来は、人びとを苦しみや病気から救ってくださる仏さまとして、古くから深く信仰されてきました。薬師如来の像が、かならずといっていいほど、手に薬壺をもっているのもそのためでしょう。なお、妙心寺は、京都市花園にあるお寺で、延元二年(一三三七年)に、花園上皇が離宮を禅寺にしたものといわれ、名園・名庭のあるお寺としても知られています。(かっこ枠なし) |
講談社の300より | 書籍によると「京都府のお話」 |
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