放送回 | No.0214(0132-B) |
放送日 | 1978年04月29日(昭和53年04月29日) |
出典 | 熊本のむかし話(日本標準刊)より |
クレジット | 演出:芝山努 文芸:沖島勲 美術:芝山努(青木稔) 作画:芝山努 |
ナレーション | 市原悦子 |
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熊本県の小岱山(しょうだいさん)の山の中に、大きな山男が住んでいました。ある時、山男は、もう山には食べ物がなくなったので里におりる事にしました。
その途中にあった大きな岩をふと覗き込むと、村人たちが山の神様のためにお供えしたおにぎりが置いてありました。山男は大喜びで、毎晩毎晩お供えのおにぎりを食べるようになり、村人たちは「きっと神様が食べているのだろう」と思いました。
翌年、村は日照りにみまわれ、稲が作れなくなってしまいました。困った村人たちが、必死に雨乞いをしましたが一向に雨が降らず、次第に食べ物にも困るようになりました。村に住む正直者の十兵衛さんは、自分の食べる分を減らしてでもお供えをしていましたが、次第におにぎりは小さくなっていきました。
山男は、毎日のおにぎりも無くなり腹をすかせて里におりて来ました。十兵衛さんの家をこっそりのぞき見ると、十兵衛さんは米の飯を食い母親は卵かけご飯を食べていました。これを見た山男は腹を立て、村人たちに「十兵衛さんはとんでもない奴だ、この食料難の時に自分たちだけ白い米の飯を食う奴だ」と、告げ口をしました。
半信半疑な村人たちが確認すると、十兵衛のは白いオカラで母親のは粟100%のご飯でした。あらぬ疑いをかけてしまった、と泣きながら反省した山男は「必ず神様に雨を降らせてもらうから」と言って去っていきました。翌日、山男が約束した通りに雨が降り、村は蘇りました。
その後、山男を見る事はありませんでしたが、岩のお供え物は翌日には無くなっていました。それでこの岩を、米を噛む(食べる)石という事で「米噛石」と呼ばれるようになりました。
(紅子 2012-1-24 21:55)
地図:築地の米噛石 |