ある所にやさしいお爺さんお婆さんと、欲張り爺さん婆さんが隣同士で住んでいた。
ある日、やさしいお爺さんのところに小犬が逃げてきた。そのあとを欲張りな爺さんが、その犬は自分の畑を荒らしたと言って追いかけてきた。やさしいお爺さんは、隣のお爺さんに頭を下げて許しを請い、その小犬に「ポチ」という名を付けて飼うことにした。お爺さんとお婆さんに可愛がられてポチはぐんぐん大きくなった。
ある日、ポチが裏山で「ここ掘れワンワン!」と吠えるので、そこを掘ってみるとたくさん小判が出てきた。それを見ていた隣の欲張りお爺さんは、ポチを連れて裏山を掘るも、蛇や化け物がでてきたので、怒ってポチを殺してしまった。
悲しんだお爺さんは、裏山にポチの亡骸を埋め、そこに小さな木の墓標を立てた。するとその墓標がぐんぐん大きくなり、立派な木になった。やがてその木が「臼にしてくれ~」と言うので、木を切って臼にして餅をついたところ、餅が小判に変わった。隣の爺さん婆さんがそれを真似すると餅は泥団子に変わり、バチンバチンとはじけて顔を真っ黒にした。怒った欲張り爺さんは、臼を粉々にして竈で焼いてしまった。
やさしいお爺さんは悲しんで、その灰を集めて畑に播こうとすると、風が吹いて灰を吹き飛ばした。すると枯れた木が光り出して桜の花を咲かせた。喜んだお爺さんとお婆さんが、他の枯れ木にも灰をかけると、あたり一面桜が満開となった。その話を聞いた殿様がやって来て、お爺さんが見事枯れ木に桜の花を咲かせるのを見て喜び、お爺さんにたくさんの褒美を授けた。
それを見ていた隣の爺さんが真似をして枯れ木に灰を播くが、灰はそのままお殿様の頭にバッサリとかかり、怒ったお殿様に牢屋に入れられてしまった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:32 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第7巻-第031話(発刊日:1976年9月10日)/童音社BOX絵本_第47巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第001巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第8巻-第29話(発刊日:2006年3月20日)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第04巻(絵本発刊日:1984年10月15日)/講談社テレビ名作えほん第007巻(発刊日:1977年8月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「岩手地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「岐阜県の昔ばなし」 |
国際情報社の絵本より | 『花咲か爺さん』は、”日本五大童話”の一つに数えられている、昔から有名な話です。心の優しいお爺さんは幸運を得、それをねたんで真似をしたお爺さんは、失敗して不幸を招くという、昔話にはよく見られる型の話です。似たような話は全国にありますが、この話が私たちの心をとらえるのは、人間の気持ちの裏表を、二人の年寄りという、類型化された形で見せてくれるからでしょう。この話では、子犬が幸不幸を決定する重要な役割を果たしていますが、子犬の代わりに、いろいろな動物や品物がでてくる話もあり、昔話は、各地の話が微妙に影響しあってできていることがわかります。(地名の明記なし) |
講談社のデラックス版絵本より | 「花さかじいさん」は「日本五大昔ばなし」のひとつとして、広く知られています。正直で働き者のおじいさんは、やさしく誠実は人柄ゆえに幸運をてにします。それを見て、いじわるでなまけ者のおじいさんは羨ましくてならず、マネをしては失敗するという「物うらやみ話」です。人の心の中にある、ねたみ心を懲らしめているのでしょう。正直じいさんは、最後に焼かれたうすの灰を木の根にまいて枯れ木に花を咲かせますが、これは、昔は焼き畑農業で作物を作っていたところからの発想によるものだと思われます。(岐阜地方の昔ばなし) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「岩手地方の昔ばなし」 |
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