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No.0203
くしきいろのおおじか
奇しき色の大鹿

放送回:0126-A  放送日:1978年03月18日(昭和53年03月18日)
演出:辻伸一  文芸:沖島勲  美術:下道一範  作画:辻伸一
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あらすじ

昔、九州の山国での話。

ある村に長者がおり、この長者には美しい一人娘がいた。娘の美しさは村の評判となり、娘を一目見たさに大勢の男が毎日長者の家の門に押しかけた。

ところが、ある時から娘は姿を見せなくなった。娘が姿を現さなくなったため、次第に人々の足も長者の家から遠のいていった。しかし、ここに平作(へいさく)という若者がおり、娘を見ることが出来なくても、毎日長者屋敷に足繁く通っていた。ある日、平作は屋敷に出入りする医者から娘が重い病を患っていると知る。

それからまもなくして、村は大雨に見舞われ、平作は増水した川に流されてしまう。平作が滝から落ちかけたところ、不思議な光を放つ大鹿が現れ、平作の命を救った。平作は大鹿に感謝し、お礼になんでも言うことを聞くと言った。大鹿は言う。「礼などいらぬが、自分のことを決して村の者に話さないでほしい。」平作は、このことは決して誰にも漏らさぬと大鹿に約束する。

平作が村に帰ってみると、なにやら長者の家の前に立て札が立っている。それは、「奇しき色の大鹿の居場所を教えたものには、望みの褒美を与える。」というものだった。奇しき色の大鹿の生き血を飲ませれば、娘の病が治ると長者に言った者がいたのだ。

これを知った平吉は、家に篭って一人悶々と悩んだ。娘の病気は治したいが、大鹿との約束も破れないからだ。しかし、平吉はとうとう大鹿の居場所を長者に知らせてしまう。これを聞いた長者は、早速大鹿を撃ちに出かける。

長者の一行は、平作の落ちかけた滝で大鹿を見つけた。すると長者を目にした大鹿は言う。「私は命は惜しくないが、この場所を言った者を教えてほしい。」平作は耐え切れず、自分が知らせたと白状し、事の一部始終を話した。大鹿が平作の命の恩人と知った長者は、大鹿を撃たずに引き返した。

その後、長者の娘の病はすっかり良くなったが、平作は命の恩人を裏切った己を恥じたのか、姿を消してしまった。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-9-10 9:09 )


ナレーション市原悦子
出典比江島重孝(未来社刊)より
出典詳細日向の民話 第二集(日本の民話43),比江島重孝,未来社,1967年12月20日,原題「奇しき色の大鹿」,採録地「西都市妻町酒元」,話者「松下ハツ」
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※掲載情報は 2011/9/10 19:41 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
7件表示 (全7件)
yassan  投稿日時 2016/5/15 14:57 | 最終変更
いたちむし様

そうですね。このお話は考えさせられる内容ですね。

実は、この話の元ネタはジャータカ(前世譚)の第482話※で、これはお釈迦様の前世を記した仏典です。ジャータカでは大鹿がお釈迦様の前世で、大鹿を裏切った男がデーバダッタの前世という事になっています。

当然、仏典なのでお釈迦様の前世での善行を称え、デーバダッタの裏切りを非難する内容なのですが、この宮崎県の話では男が長者の娘に恋心をいだいている、男は最後に村を去る。という改変がされていて、読者に考えさせる、より面白い内容になっていると思います。

※漢訳された仏典では「仏説九色鹿経」その他に類話がある。その他「今昔物語」巻第5第18話「身色九色鹿、住山出河邊助人語」
いたちむし  投稿日時 2016/5/15 10:13
長い間思い込み誤解していたことに、他人との"ふとした会話"の中で、気づくことがあります。人との会話の効能、ほんとに不思議な力です。
...
本物語「奇しき色の大鹿」も、鹿との約束を村人が破るところまでの話は、「鶴の恩返し」や「雪女」など、多くの物語で見られます。"他人との決まり事(約束など)は、慢心によってその約束事を破ってしまう"という事は、誰でも大なり小なり経験します。その戒めとして、昔話は本当にありがたく思います。
...
この物語は、その教訓の続きがありました。約束を破った動機自体は、その人の慢心によるものだったのですが、その約束を破ったことによって人(女の子)の命が救われたのです。しかも、それは、約束を破られた側(大鹿)が犠牲になったことによるものではなく、大鹿の裁量によって女の子の命が救われたのです。
...
残念なのは、約束を破った側(村人)は、罪の意識を感じて、村を去ってしまったことです。自ら去ったことになっておりますが、約束を破ったことに対して、村人衆から、レッテルを張られていたたまれなくなったのかも知れません。
...
それでは、その村人は、どうすれば、大鹿の約束を破ることなく(=大鹿に大きな迷惑がかかることなく)、人の命を救うことが出来たのか? その方法を、この物語を見た人たちが話し合う上で、とても良い物語ではないかと考えております。


beniko  投稿日時 2013/9/15 15:58
出典元の本「日向の民話 第二集,未来社」を確認してみましたが、残念ながら場所を特定する地名などの明記はありませんでした。
細微な情報としては、話者が西都市妻町酒元に住む松下ハツさん、という事ですので、この周辺の山奥かもしれません。

※この未来社の民話シリーズの本には、全巻とおして簡易地図が巻頭に記載されているのですが、この「日向の民話 第二集」に限って簡易地図の記載はありませんでした。
mitsuzakura  投稿日時 2011/12/10 19:51
すみません、引用したサイトで宮崎県のお話としているのは、出典が「比江島重孝(未来社刊)より」とクレジットされていて、この本は「日向の民話 日本の民話43」(比江島重孝/編, 未来社, 1967)だからです(※実際に出典とは突き合わせていませんが)。

日向の国、宮崎県で語られているお話なので宮崎のお話と分類した。どの地域のお話か、紅子さんのサイトより基準を広くとりました。

具体的な地名の言及がない、または「あるところ」としていても、どの地域で語られたお話か出典から明らかなものは、その地域のお話として分類したものです。口承文芸だとその地域固有のお話だと必ずしも言えませんが、その地域で語り継がれているのも確かなので。

「山国」がどこかは分かりません。多分、ただの山国だと思います。
beniko  投稿日時 2011/9/10 20:24 | 最終変更
って、連続投稿になりますが、宮崎かも。

http://homepage3.nifty.com/cheshire/broadstreet/contents_myth/my_09_yakuro-shika.html
上記URLのページで、中ごろ辺りに「宮崎県のお話のようだ」という記載がありました。根拠がわかりませんけど、これも一つの情報源として。。。

引用文削除(2011年10月28日)
beniko  投稿日時 2011/9/10 19:49 | 最終変更
う~む、確かにどっちにも取れますね~。
いろいろ調べてもらったと思いますが、すみません、今の段階では確信が持てないので現状の「九州地方」というカテゴリのままにさせておいてください。

実は、先日、紅子もこのお話の発祥地を調べたことがあるんですけど、結局わかりませんでしした。(情報みつからない)

※追伸
操作ミスでやっさんの書き込みをうっかり消してしまい、再投稿させてもらっています。投稿時間がずれておりますが、すいません、ご了承ください。(投稿時間の訂正方法がよくわならないもので、、、、)
やっさん  投稿日時 2011/9/10 19:43
九州の山国ということで、一応、中津市山国町としておきました。

ただ、この「山国」と言うのが、一般名詞として山奥という意味で使われているかもしれません。まあ、その場合「山深い里」とか「山奥の村」とか言うのが自然な気もしまが、ちょっと定かではありません。
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