放送回 | No.0193(0119-A) |
放送日 | 1978年01月28日(昭和53年01月28日) |
出典 | 花岡大学(角川書店刊)より |
クレジット | 演出:矢沢則夫 文芸:沖島勲 美術:宮本清司 作画:矢沢則夫 |
ナレーション | 常田富士男 |
昔、佐名伝村にある小さな池は、奈良の興福寺の猿沢の池と地下でつながっている、という言い伝えがあった。この佐名伝(さなて)村には、心優しい「おいの」という娘がすんでいた。
ある日、お地蔵さんにお供え物をあげにいくと、気を失って倒れている旅のお坊さんを見つけた。おいのはお坊さんを背負い、看病するために自宅に連れて帰った。おいのは父親と二人で看病するうちに、その顔立ちが美しすぎるお坊さんに恋をしてしまった。
まもなく元気を取り戻したお坊さんは、奈良の興福寺(こうふくじ)に向けて旅立って行った。おいのはお坊さんの事を恋慕い、我慢できなくなり、お坊さんを追いかけて京都を訪れた。やっと再会できたお坊さんに告白したが、「修行中の身だから」と断られてしまった。落胆したおいのは村へ帰り、池に身を投げて死んでしまった。
それから数日後、興福寺の猿沢の池においのの笠(かさ)が浮かんできた。丁度そこへ、おいのの父親がお坊さんを訪ねてきて、おいのが遺書を残して死んだと告げた。
それからまもなく、お坊さんの姿も見えなくなった。実はお坊さんもおいのの事が好きだったので、きっと、おいのの後を追って身を投げたのだろうと噂された。
(紅子 2011-8-20 0:17)
地図:佐名伝(さなて)村のおいの池 |