放送回 | No.0177(0110-A) |
放送日 | 1977年11月19日(昭和52年11月19日) |
出典 | 石崎直義(未来社刊)より |
クレジット | 演出:冨永貞義 文芸:沖島勲 美術:石津節子 作画:冨永貞義 |
ナレーション | 常田富士男 |
昔ある村に、グズという兄とダブという弟が、両親と一緒に暮らしていました。今日はお坊さんがやってくるという日、忙しくしていた母親が、グズとダブにお手伝いを言いつけました。
さっそく兄のグズは、かまどでご飯を炊き始めました。やがてグツグズとお釜が煮えたぎってくると、自分の名前を呼んでいると勘違いして「オイオイ」と返事をし始めました。しかし何回返事してもお釜が呼び続けるので、とうとう腹をたててお釜をご飯ごとひっくり返してしまいました。
その頃、町へ醤油を買いに出かけた弟のダブは、徳利にいれた醤油が揺れてダブダブ言っているのを自分の名前を呼んでいると勘違いしました。そして、ずっと自分の名前を呼び続ける徳利に腹をたてて、田んぼに徳利を捨てて手ぶらで帰って来ました。
今度は、父親が弟のダブに「お寺へ行って権現はん(和尚さん)を呼んで来てくれ、黒い衣を着ている人だよ」と言いつけました。ダブは黒い恰好をしているものなら何でも和尚さんと思いこみ、途中で見かけたカラスに声をかけたり、黒い犬に声をかけたりして、なかなか和尚さんまでたどり着きませんでした。
しばらくして、兄弟の家へ和尚さんがやって来ました。和尚さんがお風呂に入っている間に、ダブはお湯を熱くしてあげようと、脱いで置いてあった和尚さんの衣を焚きつけて全部燃やしてしまいました。大切な衣を燃やされてしまった和尚さんは、あきれ驚いて裸のまま寺へ走り帰っていきました。
両親は「バカにつける薬はない」と嘆きましたが、グズとダブはなぜ叱られるのか分からず、ぽかんと口を開けていました。
(紅子 2012-11-10 23:40)