放送回 | No.0172(0107-A) |
放送日 | 1977年10月29日(昭和52年10月29日) |
出典 | 水澤謙一(未来社刊)より |
クレジット | 演出:小林三男 文芸:沖島勲 美術:下道一範 作画:猿山二郎 |
ナレーション | 常田富士男 |
昔、奈良の大仏様にお参りに来てお金を使い果たし、家に帰れない人が沢山いました。その中に岩手南部からきた爺さんと、同じく南部からトンビにさらわれてやって来たネズミのチュー太が出会いました。
里に帰りたい同郷の二人は相談して「爺さんはチュー太を運んで、チュー太は宿代を稼ぐ」という計画で、二人は一緒に南部に帰ることにしました。悪い事とは思いながら、夜になるとチュー太は泊まった宿の客の財布から少しだけお金を抜き取りました。
あと二~三日で南部に到着するという日の事でした。チュー太が客の荷をあさっていた時に、不運にも立て掛けてあった刀が倒れてきました。刃の下敷きになって瀕死の状態で戻ってきたチュー太を見た爺さんは、その夜のうちに南部に向かって走り出しました。
やっと南部にたどり着き、チュー太の母親にすでに冷たくなったチュー太を渡しました。母親はチュー太を抱きしめ、爺さんに何度もお礼を言いました。そして、欲しい物が何でも出てくるという宝物の赤い襦袢(じゅばん)をお礼にくれました。爺さんはチュー太の死を悲しみながら、南部の自分の里へと帰って行きました。
(紅子 2011-11-22 0:56)
地図:岩手の南部(地図は適当) |