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No.0159
たかだろくざえのゆめ
高田六左衛の夢

放送回:0098-B  放送日:1977年08月27日(昭和52年08月27日)
演出:久米工  文芸:境のぶひろ  美術:久米工  作画:久米工
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あらすじ

出雲の片田舎、高田の予頃(よごろ)という所に、六左衛(ろくざえ)という名の鉄砲撃ちがいた。

六左衛は怖いもの知らずな男で、ある冬の日のこと“鬼の穴”へ行くと言い出した。鬼の穴とは、中に鬼が住んでいると言われる深い洞窟で、この辺りの者は誰一人として近づく者はいなかった。

六左衛は女房が止めるのも聞かず、翌朝早くに鬼の穴の中に入って行った。ところが、真っ暗な洞窟の中で、六左衛は深い穴に落ちてしまった。すると、落ちた穴の先にかすかな明かりが見える。六左衛が明かりに向って歩くと、そこは出口だった。

洞窟から出てみれば、そこには見事な田畑が広がる村があった。今日は村のお祭りと見えて、村のあちこちから楽しそうなお囃子が聞こえてくる。

ところが、一軒だけ家族が泣き悲しんでいる家がある。六左衛が事情を聞けば、この村では毎年、氏神様の祭りの夜に娘を人身御供に差し出さねばならず、今年はこの家の娘がクジに当ったのだと言う。豪胆な六左衛は、これを聞いて自分が娘の身代わりになると言い、長持の中に入った。

真夜中を過ぎた頃、果たして社の中から二匹の化け物が現れた。六左衛はここぞとばかり、長持に開けた穴から化け物に向って鉄砲を打った。夜が明けてみれば、社の裏手のほら穴の中には二匹の大むじなが息絶えている。これが化け物の正体だったのだ。

六左衛は村の人たちから感謝され、お土産をたくさんもらって自分の村に帰った。するとどうしたことか、村に帰ると六左衛の家が跡形も無く消えている。近くを通りかかった爺さまに話を聞けば、その爺さまの爺さまから聞いた話で、昔ここに六左衛という鉄砲撃ちがいたと言う。

こんなことなら鬼の穴なんかに行くんじゃなかったと、六左衛は庭の片隅にある女房の墓の前で泣いた。すると、女房が六左衛を呼ぶ声が聞こえる。気がつけば、六左衛は囲炉裏の前でうたた寝をしていた。そう、これまでの事は全部、六左衛がうたた寝で見た夢だったのだ。

このことがあってから、六左衛は「かかあの傍(そば)が一番。」と言い、鬼の穴に行くなどと言わなくなったそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-8-23 19:27)


ナレーション市原悦子
出典石塚尊俊(未来社刊)より
出典詳細出雲の民話(日本の民話12),石塚尊俊、岡義重、小汀松之進,未来社,1958年09月15日,原題「高田六左衛の夢」,原話「湯浅恭子」
場所について仁多郡奥出雲町高田(地図は適当)
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地図:仁多郡奥出雲町高田(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/8/23 19:27 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
Wii  投稿日時 2022/2/11 12:03
この話の他に、夢オチで終わる話は「のんべえの頭の柿の木」「おしろい花の谷」「桶屋の夢」「大寝入りの寝兵衛」などがありますが、比較的最初の頃に放送された回で夢オチエンドなのはこの話くらいでは?
匿名希望。  投稿日時 2022/2/11 11:05
昔ばなしで、夢オチなんて超珍しい❗(笑)
ゲスト  投稿日時 2021/6/5 21:03
すごく不思議な話。
鬼の穴を抜けた先にあった村は人ならざるものの村で、娘さんを助けたお礼に穴に入る前の時間に戻されたのかなという印象を受けた。
なんだかいろんな要素が織り交ざってる上に
不気味さの中に六座衛の飄々とした人物像が面白く、突拍子もないオチも相まってかなり印象的な話だった。
もみじ  投稿日時 2012/8/27 12:36
白羽の矢→娘が人身御供→代わりに化け物退治は
早太郎伝説などの王道と言えば王道の展開ですけど、
その続きが、帰ってきたら浦島太郎チックな話になって
さらにそこからの、まさかの夢オチ( ̄□ ̄;)!

いろんな昔話の要素がてんこ盛りですね(・ω・;)

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