昔、大分の上浦(かみうら)の暁嵐の滝(ぎょうらんのたき)の近くに、六兵衛という百姓が住んでいました。そして、六兵衛が管理している水車小屋近くには、悪さ好きな七匹のカッパが住んでいました。
ある時、カッパたちは六兵衛に「相撲を取ろう」と誘いましたが、尻を抜かれるとわかっていた六兵衛は「まず先に草取りを手伝え」と言って、カッパたちに草取りを手伝わせました。
カッパたちが草取りをしている間に、六兵衛は、お尻にヤカンの鉄のふたを仕込みました。カッパたちがお尻めがけて突撃しても、フタのおかげで尻を守る事ができました。
翌日、いよいよカッパと六兵衛が相撲を取ることになりました。大将カッパに放り投げられた六兵衛が、大将カッパの腕をつかむと腕がもげてしましました。大将とカッパたちは、驚いて川に逃げ帰っていきました。
その夜、六兵衛の家にカッパがやってきて「仕返しはしないから、腕をかえしてくれ」とお願いしました。そこで六兵衛は、カッパに「滝つぼのしゅろの木が腐るまで悪さをしない」と誓わせて、腕を返してあげました。
腕を返してもらったカッパは喜んで川へ帰っていきました。が、カッパたちは悪さをする楽しみがなくなったので、早くしゅろの木を腐らせようと臭い臭い屁を浴びせました。
しかし、しゅろの木は石で作った物だったので、とうとう腐る事もなく、カッパたちも諦めてどこかへ行ってしまいましたとさ。
(紅子 2014/4/12 21:42)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 大分のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 大分のむかし話(各県のむかし話),大分県小学校教育研究会国語部会,日本標準,1975年10月01日,原題「地蔵おどり」,採録地「南海部郡上浦町」,話者「木村孝男」,再話「久保彰三」 |
場所について | 暁嵐の滝(ぎょうらんのたき) |
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