No.1442
おとのさまともち
お殿様と餅
高ヒット
放送回:0924-B  放送日:1994年03月05日(平成06年03月05日)
演出:しもゆきこ  文芸:沖島勲  美術:大西治子  作画:しもゆきこ
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あらすじ

むかしむかし、あるお城にものすごく餅が大好きな殿様がおりました。ところが、このお城はとても貧乏で、家臣達の給料もろくろく払えない有様なのでした。あんまり貧乏なのでお城には餅米もなくなり、お殿様は餅を食べることが出来なくなりました。「餅、喰いたい。餅、喰いたい。」と、お殿様がいくら騒いでも、ないものはないのです。

やがて正月が近づくと、城下の村人達の家で餅をつく音がお城まで聞こえてくるようになりました。その音を聞くだけで、そわそわと落ち着きがなくなるお殿様を見て、家老の爺はお殿様にあることを入れ知恵しました。

それからは、お殿様は城下から餅をつく音が聞こえてくると大喜びで城下に走って行くようになりました。そうして餅をついている家にたどり着くと、「おお見事な餅じゃのう~。」と、村人達がついた餅をパクパクと食べてしまうのでした。

そんなことが何度も続いたので、ある時、百姓の爺様が恐る恐る訳を尋ねると、お殿様は「腹が減ったら来るように、そち達が呼んでくれたのじゃろう。余は嬉しいぞう~。」と、餅を全部食べてにこにこ顔をするのでした。

村人達は寄合を開き、どうやら餅をつく時の「ぺったらこ、ぺったらこ」という音が、「減ったら来い、減ったら来い」と聞こえているのではないかという話しになりました。だから餅つきを始めると、腹を減らした殿様がやって来て、餅を全部食べてしまうのです。そこで、村人達は音を立てずに餅をつく工夫をするようになりました。

城下から餅をつく音がしなくなったのでお殿様は大変不思議がりましたが、家老の爺は「わが城下にもなかなか知恵者がおったとみえる。」と納得顔でした。この辺りで餅をつく時に、臼の下に藁を敷いて音をたてないようにするのは、こんなことがあったからだそうです。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-10-27 21:32 )


ナレーション常田富士男
出典愛知県
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※掲載情報は 2013/10/27 22:28 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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吉兵衛どん  投稿日時 2022/2/13 23:53
こんな平和な話の背景に戦があったなんて…
由貴子  投稿日時 2021/9/10 22:55
このお話が大好きで、保育士の試験でお話ししました。
ゲスト  投稿日時 2015/11/7 14:59
祝い餅の場合は、臼の下に藁を敷く。(長野県安曇野の風習)
http://azuminosizennoujyuku.blogspot.jp/

餅つき。この木臼の下に敷いてある十文字のワラは、この辺り(静岡県浜松)に伝わるおまじないの風習。
http://korobo.org/blog/?page_id=2043

「正月三が日は音を立ててはいけない」
  正月のタブー(山形県北村山地方 にしかた郷 湯野沢)
 本来、湯野沢では元旦に餅をつきません。大晦日に正月行事を始めたときから正月三が日までは決して音を立ててはならないといわれていました。ゆえにこの期間中に薪を割ったり餅をつくという行為はタブーとされていました。ただし餅搗きは元旦の早朝もしたようです。また正月三が日は選択と灰を出すことを忌みました。あく-悪をださないように、という意味合いです。
http://www.h2.dion.ne.jp/~yun0sawa/yunosawanonenjyuugyouji.html

愛知県以外しかweb上わかりませんでしたが、各地域で お正月は音を立てないタブー や 臼の下に藁を敷くまじない など 相当昔からあった古い習慣のようです。
お殿様のお話は後から出来たものと思われます。
ゲスト  投稿日時 2015/11/7 14:36
魚は殿様に焼かせよ、餅は乞食に焼かせよ
【読み】 さかなはとのさまにやかせよ、もちはこじきにやかせよ
【意味】 魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよとは、魚や餅の上手な焼き方を言ったもの。また、仕事には適不適があるものだから、仕事をさせるときには適任者を選べということ。
【魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよの解説】
【注釈】 魚を焼くときは、何度もひっくり返すと身が崩れるため、弱火でじっくりと焼いたほうがよいから、殿様のようにおっとりした人に焼かせるのが良い。
餅を焼くときは、たえずひっくり返して焦げないようにしなければならないため、乞食のようにがつがつした人に焼かせるのが良いという意味から。
上下を逆にして「餅は乞食に焼かせろ、魚は殿様に焼かせろ」ともいう。
http://kotowaza-allguide.com/sa/sakanawatonosama.html

こんな ことわざがありました。
貧乏な殿様だから、餅を焼いていたのでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2015/11/7 14:28
戦の話が出てきますので、戦国時代以前のお話と思います。
こんな殿様の爺やは大変だし、領民もたまったものではありませんね。
お殿様は多かれ少なかれ理不尽なな方が多かったのかもしれません。
でも、なんか面白いお話なので笑ってしまいました。
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