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阿波の水(あわのみず)

放送回No.1428(0910-A)
放送日1993年11月20日(平成05年11月20日)
出典徳島県池田町
クレジット演出:若林常夫 文芸:沖島勲 美術:門屋達郎 作画:若林常夫
ナレーション常田富士男

あらすじ

むかしむかし、徳島県中津山の池の水は『阿波の水』と呼ばれ、讃岐の村人は日照りの時にはこの水を樽に詰めて持ち帰り、雨乞いをしておったそうな。ただ、阿波の水を運ぶ途中、絶対に樽を肩から降ろして休んではいけないという決まりがあって、大勢の若者が阿波の水が入った樽を交代で担いで運ばなければならなかった。村に持ち帰った阿波の水を田んぼに撒くと、黒い雲が湧いて雨が降ったという。

ある年の夏、讃岐の端の小さな村で日照りが続いて、とうとう阿波の水を取ってきて雨乞いすることになった。小さな村なので若者の数は少なかったが、村長は途中で休んだりしないよう言い含めて、左兵衛、右兵衛、源兵衛の三人の若者を中津山へ送り出したそうな。

さて、中津山に着いた三人はお参りをし、阿波の水を汲んで帰ることにした。ところが、阿波の水が入った樽は思ったよりもずっと重く、左兵衛どんと右兵衛どんが何とか二人で担いだが、なかなか前には進めなかった。一方源兵衛どんは、掛け声だけで全然手伝おうとはしなかったんじゃと。

そうして山の中腹まで来た時、源兵衛どんが「さあ一休みじゃ。岩陰で休めば中津の神様にも見えないから大丈夫じゃ~。」と言いだした。左兵衛どんと右兵衛どんは、いけないと思いつつも、結局樽を降ろして休んでしもうた。すると、中津山の方から真っ黒な雲が湧いてきて、物凄い雨が降り出したそうな。三人は震え上がり、途中で休んだことは内緒にしようと約束して、慌てて村へと帰って行ったんじゃと。

ところが三人が村に着き、村人達が雨乞いをしようと樽の蓋を開けると、樽の中には一滴の水も入っておらんかったそうな。中津の神様から頂くはずだった雨は、決まりを破って三人が休んだあの岩陰に全部降ってしもうたのじゃった。こうして、こっぴどく叱られた三人は、次の日また、阿波の水を貰うため中津山へ出発して行ったということじゃ。

(投稿者: ニャコディ  投稿日時 2012-7-28 17:35 )


地図:中津山(地図は適当)

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