No.1376
ねこのて
ねこのて

放送回:0874-A  放送日:1993年01月23日(平成05年01月23日)
演出:若林常夫  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:若林常夫
山形県 ) 16769hit
あらすじ

昔、ある庄屋の家で、長年飼われている一匹の年老いた猫がいた。名前はタマ。昔はよくネズミもとったが、最近ではネズミもとらなくなって、毎日昼寝ばかりしている。

庄屋さんのところでは、今年も田植えのシーズンが始まり、この時期になると、男達は田んぼに出て、田植え仕事に精を出し、女性達は男達のために食事の支度などに追われ、皆大忙しである。

そんな中でも、タマは今日も縁側でのんびりとお昼寝。そんなタマを見た女中の一人が、「お前は最近ネズミもとらんと、昼寝ばかりして。こっちは猫の手も借りたいほど忙しいのに。」と、つい愚痴をこぼしてしまう。その言葉の意味が分かったのか、分かっていないのか。チラリと横目で女中を見るタマ。

そんなある日のこと。村の者達が田植え仕事に精を出していると、見慣れない3人の若い娘が突然現れ、田植え仕事の手伝いを申し出てきた。村の男達は、この急な申し出に戸惑い気味であったが、3人娘のうちの一人・・・色白の美しい娘が、自ら歩み出て田んぼに入ると、せっせと田植え仕事を手伝い始めた。

その娘の後ろでは、連れの2人の娘が太鼓を叩き、楽しげな歌と踊りで村人達を鼓舞する。村人達は、その楽しげな歌を聴き、踊りを見ているうちに元気が出てきて、田植え仕事がどんどんはかどっていく。

3人娘の手伝いのおかげもあり、気が付くと、田植え仕事は夕暮れには全て終わっていた。村人達はおおいに喜んで、これもあの3人娘のおかげじゃと、お礼を言おうとするのだが、気が付くと、娘達はどこかへ消えてしまっていた。

そんな不思議な出来事があった翌日。いつぞや、タマに愚痴をこぼしていた女中が、縁側に泥で付けた猫の足跡らしきものを発見する。その跡をたどってみると、また、縁側でひっくり返って昼寝をしているタマと、2匹の猫を見かける。

そしてタマを見て驚いた。タマの手足は泥だらけだったのである。縁側に残された泥は、田んぼの泥である。そしてタマの手足に付いていたものも・・・。そこで女中は気が付く。「タマ!まさかお前が・・・。」

猫の手も借りたいと女中がこぼし、家中の人々が田植え仕事に追われ、大忙しで困っている事に気が付いたタマは、長年お世話になっている家の人達にお礼がしたかったのだろう。それで、仲間の猫達と共に若い娘に化けて、田植え仕事の手伝いをし、自分に出来るせめてもの恩返しをしたのであろう。

( 投稿者: パンチョ 投稿日時 2012-5-25 1:46 )


ナレーション常田富士男
出典江口文四郎「山形のとんと昔」より
場所について山形県西村山郡西川町間沢(地図は適当)
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地図:山形県西村山郡西川町間沢(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/5/25 9:43 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
7件表示 (全7件)
猫  投稿日時 2021/6/29 23:12
タマがなんともかわいいです。歳をとって世話になっている飼い主に恩返しをしたのですね。茂吉の猫のように、飼い主を呪い殺そうとする飼い猫もいる中でタマはとてもいい猫ですね。
Perenna  投稿日時 2020/11/18 22:47
この昔話の田植え歌と似たような歌で、どじょっこふなっこが出てくる歌を見つけました。
未来社の「みちのくの百姓たち」に収録されている「方言四季の詩」という歌です。

春になれば氷(しが)モコア解げで
鰌コだの鮒コだの
天井コ取れだと思うべァネー
(夜明けだと思うべァネー)

夏になると水泳(およぎ)コドァ来て
鰌コだの鮒コだの
鬼コ来たど思うベァネー

秋になれば木の葉コ落ぢで
鰌コだの鮒コだの
舟コ来たど思うベァネー

冬になれば氷(しが)モコアはって
鰌コだの鮒コだの
天井コ張っだど思うベァネー

註として「秋田県大館地方で吟ずるもの、盛岡のものが相近く、弘前のは更に複雑である。」と書かれています。

アニメの歌詞と似たようなものを見つけましたら、またご報告したいと思います。
Perenna  投稿日時 2019/8/15 0:26
田植え歌を聞き取ってみました。

「ハァー 春来れば
こぜっこさぁ みずっこぁでえ
どじょっこ かずさこせぇ
よろこべ よろこべ
う~みさへったとおもうべね
ほら こりゃ~

ハァー 夏来れば
はぜっこ こぜっこ あなぬくなる
どじょっこ かずさこせぇ
よろこべ よろこべ
ゆっこさ へったとおもうべね
ほら こりゃ~

ハァー 秋来れば
こやま こやまはあかくなる
どじょっこ かずさこせ
くびだせ くびだせ
やまっこ かじだとおもうべね
ほら こりゃ~

ハァー 冬来れば
それそれ それそれ
そりゃー すだまはる
どじょっこ かずさこせえ
こりゃこりゃ こりゃこりゃ
こりゃ かじだと おもうべね
こりゃ こりゃ~」

「どじょっこ」とか「はぜっこ」は聞き取れるのですが、「ふなっこ」とは言っていないような気がします。
夏の部分の「こぜっこ」が「ふな」にあたるのでしょうか?
「どじょっこ かずさこせぇ」を繰り返しているので、ドジョウが増えることによって、田の豊穣や稲の収穫を期待しているような印象を受けますね。
秋の部分は、「小山は紅葉で赤くなる。ドジョウは首を出せ。山が火事だと思うかもしれないね」という意味なのでしょうか?
江口文四郎氏が著した「山形のとんと昔」には、どのように書かれているのか気になるところです。

らんきち  投稿日時 2018/10/1 2:45
猫が化けた娘がどじょっこふなっこのような歌を歌ってますが何回聞いても秋の部分以外聞き取れません。
おわかりの方いましたら歌詞を教えてください。
ゲスト  投稿日時 2015/9/25 22:53 | 最終変更
山形県西村山郡西川町間沢
が、お話の舞台のようです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B1%B1%E6%9D%91_(%E5%B1%B1%E5%BD%A2%E7%9C%8C)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B7%9D%E7%94%BA
__
ありがとうございました。山形県西村山郡西川町間沢に地図を修正しました。(2015/9/26)
ゲスト  投稿日時 2015/9/25 22:45
猫ねごの恩がえし(内陸地方) (文・滝口国也(東根市民話の会会長))

昔むがし、昔むがしあったけど。
間沢(まざわ)のある所に大つきな旦那さまの家があったけど。田植えの時期が来て、旦那の家でも田植えが始まったけど。
旦那の家の母ちゃんは、目が回るほど忙すえ。縁側を通りかがったら、日当だりの良い所に、猫(ねご)が昼寝しておったけど。
母ちゃんは猫を「ミケ」と呼んで、「こだえ忙すえ時どぎ、おまえは昼寝している。何が手伝てづだいでもしたらどうだ」と言ったけど。
そうしたら、いづの間にが猫の姿が見えねぐなったので、どごがに遊びに行ったのだと思っていだけど。
田んぼでは大勢の手伝だい人が並んで田植えをしておった。その中さ見たごどもない美づぐすえ娘が1人。大変手早で上手な田植えをする娘だけど。
皆がひと休みしている間でも、せっせど田植えをして、10人前の仕事をするので、3日かがる田植えが1日で終わったけど。
母ちゃんが手伝だいの人達に「あの娘はどごの娘だ」と聞えでも、誰も知らながったど。
夕方になると娘の姿すがだが見えないけど。
母ちゃんが夕食を運ぶ時どぎ、猫が昼寝する縁側を通ったら、縁側に猫の泥の足跡がついでおったので、あの娘は猫だったとわがったけど。
んだがら、家で飼っている犬や猫ねごは大切にさんなねもんだど。ドンビン。
http://yamagata-np.jp/minwa/minwa50.html
ゲスト  投稿日時 2015/9/25 22:31
タマ、えらいぞ。きちんと餌貰ったかな?仲間の猫さんたちもご褒美貰ったかな?
良い化け猫さんのお話
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