放送回 | No.1364(0865-B) |
放送日 | 1992年10月31日(平成04年10月31日) |
出典 | 山梨のむかし話(日本標準刊)より |
クレジット | 演出:三善和彦 文芸:沖島勲 美術:小出英男 作画:大島利恵 |
ナレーション | 常田富士男 |
昔、山梨のある山あいに、卯吉(うきち)という男が住んでいました。
ある秋の日、卯吉は用事で町へ行くことになりました。卯吉が町までの道途中にある「栗の木坂」にさしかかった時、スヤスヤと眠る一匹のキツネを見つけました。
無防備な姿で寝ているキツネを見て、卯吉はいたずら心で大きな石を投げつけました。頭に大きな石が当たったキツネは、びっくりして山奥へ逃げて行きました。
町での用事をすませた卯吉は、立ち寄った茶店でキツネへの投石の話を面白おかしく話しました。その話を聞いていた茶店のお爺さんは「帰り道は気を付けたほうが良いよ」と、卯吉に忠告しました。
すっかり日が落ちた頃、卯吉は帰り道をほろ酔い気分で歩いていました。栗の木坂にさしかかると、たまたま近くの寺でお弔いが行われていました。卯吉は「こんな所に寺などあったかな?」としばらく様子を見ていると、大勢の死人が墓地から這い出てきました。
驚いた卯吉は、必死でその場から逃げ出しましたが、死人たちは卯吉を追いかけてきました。卯吉は、高い杉の木の上に追い詰められ、死人に足首をつかまれ地面へ落とされてしまいました。
卯吉がハッと気が付くと、あたり一面白い花の咲くソバ畑でした。これまでの事は、栗の木坂のキツネの仕返しだったのです。
(紅子 2013-10-18 0:13)
地図:栗の木坂(地図は適当) |