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女郎ぐもの話(じょろうぐものはなし)

放送回No.1350(0856-B)
放送日1992年08月15日(平成04年08月15日)
出典徳島県
クレジット演出:前田こうせい 文芸:沖島勲 美術:前田こうせい 作画:前田こうせい
ナレーション市原悦子

あらすじ

むかし、ある村の庄屋様の家で息子の婚礼が決まった。

そんなある日、目の見えない旅の女が一人、庄屋様の家を訪れた。そうして、その日から庄屋様の息子は日一日と顔色が悪くなり、痩せ衰えていったそうな。やがて村には、毎晩、丑三つ時になると息子の部屋を訪れる女がいるという噂が広まった。

心配した庄屋様が息子に尋ねると、息子はぼんやりと「もう婚礼なんてどうでもいいんじゃ。あの旅の女が毎晩おいらを訪ねてくる。女の見えない目がゆっくり開いておいらを見つめると、夢のように幸せな心地なんじゃ。」と言うたそうな。

村には、この辺りの山に一匹の物の怪が住んでおって、大きな家で婚礼がある時に里に降りてくるという話が伝わっておった。物の怪はその家の跡取り息子に取り憑き、生血を吸い取ってしまうというのじゃった。

庄屋様は近在の猟師を呼び集め、その夜、息子の部屋に猟師達を潜ませた。丑三つ時になると、あの女が現れた。息子がうっとりと目を閉じると、女はたちまち大きな女郎蜘蛛に変わり、息子の生血をすすり始めた。

猟師達はその恐ろしさに震え、女郎蜘蛛に向かって一斉に矢を放った。女郎蜘蛛は悲鳴を上げて逃げようとしたが、猟師達は止めを刺そうと女郎蜘蛛を取り囲んだ。

その時、息子が「殺すのだけはやめてくれ!」と、痩せ衰えた腕で猟師の足にすがりつき懇願した。それはあまりに必死な様子じゃったので、庄屋様は女郎蜘蛛の命だけは助けてやることにしたそうな。女郎蜘蛛は息子をじっと見つめていたが、やがて傷ついた体を引きずるようにしながら山へと帰って行った。

次の日、庄屋様は息子に、男に捨てられて山に入り、蜘蛛になってしまった哀れな女の話をしてやった。女郎蜘蛛はその恨みから、婚礼前の若い男に取り憑くのじゃろうというのじゃった。

命を救ってくれた息子を殺そうとした我が身の浅ましさを恥じたのか、女郎蜘蛛はその後、二度と里に姿を現すことはなかったということじゃ。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-9-1 14:53 )


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