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子を呼ぶフア鳥(こをよぶふあどり)

放送回No.1338(0848-B)
放送日1992年06月20日(平成04年06月20日)
出典伊波南哲(未来社刊)より
クレジット演出:前田真宏 文芸:沖島勲 美術:門屋達郎 作画:前田真宏
ナレーション常田富士男

子供を取られたカッコウの鳴き声の話

沖縄の石垣島では三月になると麦が実ります。毎年この時期に合わせて、遠いところからカッコウ鳥が渡ってきます。

ある年、カッコウは子供を連れてやってきましたが、飢饉(ききん)で麦はどこにも育っていませんでした。困り果てた母鳥は島中探し回り、ようやく小さな麦畑を見つけてパクパク食べ始めました。

すると、山の方から大きなカラスが一羽飛んで来て、自分が育てたカラスムギを勝手に食べている事に激怒しました。母鳥から子供を取りあげ、「来年の三月に返してやる」と言って無理やり連れ去っていきました。子供を無くした母鳥は、声を枯らして「フアークウー、フアークウー」と鳴き続けました。

翌年の三月、母鳥はカラスの言葉を信じて、子供を返してもらおうと麦畑にやってきました。子供を呼びながらカラスを待っていると、山からカラスの大群がやってきて、一斉にカラスムギを食べ始めました。母鳥はどれが子供を連れ去ったカラスが、見分けがつきません。子供を返して、と泣き崩れる母鳥を残し、カラスの群れは飛び去って行きました。

それからというもの、毎年この季節になるとカッコウは石垣島に渡ってきて、フア(子供を)クウー(返して)、と鳴くようになりました。それで、石垣島ではカッコウ鳥の事を「フア鳥」と呼ぶようになりました。

(紅子 2012-1-3 20:07)


地図:沖縄の石垣島(場所は適当)

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