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クジラとイノシシ(くじらといのしし)

放送回No.1322(0838-A)
放送日1992年04月11日(平成04年04月11日)
出典下野敏見(未来社刊)より
クレジット演出:三輪孝輝 文芸:沖島勲 美術:三輪孝輝 作画:三輪孝輝
ナレーション常田富士男

あらすじ

昔々の大昔、クジラは山に住んでおりました。クジラは腹が空けば、その巨体で獲物を追いまくり、山を崩し川をせき止め、大暴れに暴れていたので、山の神様はほとほと困っておりました。

一方、イノシシは海に住んでおりました。イノシシは泳ぎが下手で、いつも狩りをしくじって腹を空かせていたので、海の神様はイノシシの事をたいそう哀れに思っておりました。

そこで海の神様と山の神様は相談し、イノシシとクジラを取りかえる事にしました。山の神様に連れられたイノシシは、「俺は山の中で何を食べたら良いですか」と神様に聞きました。
「イノシシよ、お前さんは海で何を食べておったのかね?」
「俺は海ではエラブウナギ(海ヘビ)を食べておりました」
「では、エラブウナギに良く似たマムシを食べる事にしなさい」
以来イノシシはマムシを見つけると大喜びして、その周りを七廻りもぐるぐる回って、それから食べるのだそうです。

一方のクジラはと言うと、広い海に出て大喜び、あっちこっちで魚を追いかけまわしておりました。ある時、クジラがシャチの群れを追いかけまわしているのを海の神様が見つけました。その頃、シャチの歯はすだれのような形をし、海の小さな魚を濾しとって食べておりました。

海の神様はクジラの大食いに呆れ、また追われるシャチが可哀想になり、シャチの歯とクジラの牙を取り変えてしまいました。そしてシャチに「若しもクジラが海で暴れる事があったら、襲いかかって痛めつけてやれ」と命じました。

以来クジラは以前の暴れぶりも何処へやら、小さな魚を濾しとって食べる弱い生き物になってしまいました。そして少しでも暴れるそぶりを見せるとシャチの群れに追いかけられるようになりました。

時折、砂浜にあがって身動きが取れないクジラがありますが、あれはかつて住んでいた陸を恋しがっているのだそうです。

(投稿者: 熊猫堂 投稿日時 2012-9-6 20:17 )


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