No.1270
みそかいばし
みそ買い橋
高ヒット
放送回:0803-A  放送日:1991年07月06日(平成03年07月06日)
演出:芝山努  文芸:沖島勲  美術:千葉秀雄  作画:海谷敏久
岐阜県 ) 37819hit
あらすじ

昔、飛騨の国は乗鞍山の西、山ひだの中に沢上(そうれ)という谷があって、そこには長吉(ちょうきち)という大変信心深く、正直な炭焼きが住んでいた。

ある夜のこと、長吉が炭焼き窯の前でウトウトしていると、長吉の夢に白髪の老人が現れ、「高山のみそ買い橋の上に立つがよい。きっといいことが聞ける。」と言う。信心深い長吉は、これを神様のお告げと信じ、早速炭を売りがてら高山の街へ降りて行くことにした。

ところが、長吉が高山の街のあちこちでみそ買い橋という橋を尋ね歩くも、そんな名前の橋を知る者は誰もいなかった。そうこうしているうちに日も暮れかかり、腹が減った長吉は、村はずれの豆腐屋に入った。すると豆腐屋の主人は、店の前の道に架かる小さな橋を指さし、あれがみそ買い橋だという。その筏(いかだ)をつなぎ止めて作ったお粗末な橋は、橋向こうの味噌屋に行くために使われるので、みそ買い橋と呼ばれていた。

さて、長吉は次の日から夢のお告げどおり、みそ買い橋の上に立つことにした。ところが、長吉が丸一日橋の上に立っていても、何も良いことなど聞きはしなかった。それでも長吉は橋の上に立ち続け、3日、4日と日は過ぎていった。そうして、5日目のこと。不思議に思った豆腐屋の主人は、長吉に橋の上に立っている理由を聞いてきた。そこで長吉は、夢のお告げの事を豆腐屋の主人に話した。

豆腐屋の主人は、長吉の話を聞くと笑いながら言った。「そんなつまらん夢の事など、早く忘れなせぇ。実はワシも同じような夢をみたんじゃ。沢上(そうれ)という所に長吉という者がいて、その男の家のそばに松の木がある。その松の木の根もとに宝が埋まっているという夢を見たんじゃ。」

長吉は、これを聞いて一目散に村に帰り、家のそばの松の木の根元を掘ってみた。すると、果たして豆腐屋の言ったとおり、金銀財宝がザクザク出てきた。長吉はそのおかげで大長者になり、村の人たちから福徳長者と呼ばれるようになった。そして、この話は高山まで伝わり、みそ買い橋は福をもたらす橋として大切にされたそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-11-12 10:41 )


参考URL(1)
http://homepage1.nifty.com/miuras-tiger/sub2-16.html
参考URL(2)
http://blog.goo.ne.jp/shortwood/e/b5f10d69dc379c95f40c1d0ef3e721e5
ナレーション市原悦子
出典(表記なし)
場所について飛騨の乗鞍山の西にある沢上谷(そうれたに)周辺
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地図:飛騨の乗鞍山の西にある沢上谷(そうれたに)周辺
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※掲載情報は 2011/11/12 10:41 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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araya  投稿日時 2011/11/4 14:14
すみません。自己解決しました。

1939年に、飛騨高山の小学校教師が『世界童話大系』第7巻の「スウォファムの行商人」を参考にして、翻案されたとのことですね。しかも、民話収集家が柳田國男に呈上し、飛騨の昔話として雑誌に取り上げられてしまったとか。また、中国や朝鮮には類話もないと。
はからずも、時代は柳宗悦を始め復古主義的な世相もありましたから、各地に伝播した要因として、当時のオピニオンリーダーでもあった柳田國男の功績?が大きかったわけですね。

個人的には江戸期であれば面白かったのですが、それだけ日本人になじみやすいストーリーだったのかと改めて感心しました。しかし、ちょっと調べただけでいろいろな派生研究が出てくる。結構、メジャーな研究であったことにも驚きました♪
araya  投稿日時 2011/11/4 8:24
横から失礼します。

「味噌買橋」の類話がイギリスにもあることは柳田國男も指摘されていますが、味噌買橋伝説がイギリスから日本に伝来したか否かは別として、橋の隠喩性に着目する研究だったように思います。その点で、翻案となれば、これは興味をそそられますね。

『口承文芸研究・15号』『昔話の語りと現在』が手元にないので、お聞きしたいのですが、どのような経緯で日本に入り、翻案されていったのか。解説いただけると助かります。
いつ、どこで、誰が翻案したのか。それが分かれば、日本各地にある「みそ買い橋」の類話が、どの地域から派生していったのか。地域交流の流れも見えますし、時代によっては隠れキリシタンなどの裏の歴史を探る端緒ともなり得ますので。

ちなみに、杉田英明「橋の上の宝の夢 : 中東説話の東西伝播」『比較文学研究』73 では、グリムの「橋の上の宝の夢」が、10世紀に書かれたイラクの『悲しみのあとの喜び』収録の一篇が淵源に位置すると指摘されています。当時の中東と欧州の交流を考えると、シルクロードの影響もあったかと。中国にも類話はないのか、御存じないでしょうか。
beniko  投稿日時 2011/11/4 6:25
えーっと、、、、、

みそ買い橋のお話と、似ているのは、「橋の上の宝の夢」グリム童話および「スワファムの行商人」というお話ですね。
「スワファムの行商人」はイギリスですかね?!

どういう風にまとめればいいか、もう少し、ご指示いただけると助かります!よろしくお願いします。
mitsuzakura  投稿日時 2011/11/2 1:42
「味噌買橋」は夢の交換がモチーフですが、これは外国の民話の翻案で、

・グリム兄弟「橋の上の宝の夢」(レーゲンスブルクの橋)
・ジェイコブズ「スワファムの行商人」(ロンドン橋)

の二系統に分類されるようです。


参考文献
・櫻井美紀「昔話『味噌買橋』の出自―その翻案と受容の系譜―」(雑誌『口承文芸研究・15号』67-84Pに所収, 1992年)

上記論文は、
・櫻井美紀『昔話の語りと現在』(久山社, 1998年)にも収録されています。
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