No.1239
むりどん
むりどん
高ヒット
放送回:0782-B  放送日:1991年02月02日(平成03年02月02日)
演出:河内日出夫  文芸:沖島勲  美術:千葉秀雄  作画:河内日出夫
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あらすじ

むかし、埼玉のある村のはずれに、杉の木の皮で屋根を葺いた古い一軒屋があった。その家には、おじいさんとおばあさんが二人きりで住んでいた。

ある日のこと、山から腹を空かせた狼が一匹下りてきた。狼は川で洗濯しているおばあさんを見ると、おばあさんに狙いを付けた。狼は、おばあさんを食べようと畑まで後をつけるも、近くにはいつも鎌を持ったおじいさんがいるので、おばあさんを襲うことが出来ない。仕方なく狼は二人に先回りして家に戻り、家の縁の下で様子をうかがうことにした。

さて、二人が野良仕事から帰って来ると、家の周りに狼の足跡がある。これを見たおじいさんは、「大変だ狼が家の周りにいる」とおばあさんに言う。しかし、おばあさんは家には鍬や鎌があるので、家に入って来たら鍬や鎌で追っ払えばいいので心配ないと言う。更におばあさんが言うには、こんな雲行きの日には“むりどん”が来そうだ。むりどんは狼よりもおっかないと言うのだ。

これを縁の下で聞いていた狼は、色々な動物を思い浮かべるが、“むりどん”などと言う動物は思い当たらない。二人が言うには、むりどんは戸締りをしても、どこからでも入って来るのでかなわないそうだ。これを聞いた狼はいよいよ怖くなり、“むりどん”とは化け物の類に違いないと思うのだった。

むりどんが恐ろしい狼であったが、もしむりどんが来なければ二人が寝静まった後、二人とも食べてしまうことが出来るので、怖いのを我慢してもう少し様子を見ることにした。

そうこうしている内に、雲行きがあやしくなり雷が鳴り出した。とうとう雨が降り出し、家の中では「むりどんが来た!!」と言って大騒ぎになった。おじいさんとおばあさんは慌てていたので水がめを倒してしまい、水が縁の下にいた狼にかかった。すると狼はむりどんに襲われたと勘違いして、大慌てで縁の下を飛び出し、腹を空かせたまま山に帰っていってしまった。

家の中はそこらじゅうで雨漏りしていて、雨漏りがするところの下には皿や茶碗が置かれ、落ちてくる雨しずくを受けていた。“むりどん”とはこの地方で雨漏りをさす言葉だったのだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-6-12 11:19 )


ナレーション常田富士男
出典埼玉の昔ばなし(三丘社刊)より
出典詳細里の語りべ聞き書き 第01巻,川内彩友美,三丘社,1986年04月10日,原題「むりどん」
VHS情報VHS-BOX第4集(VHS第36巻)
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追加情報
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※掲載情報は 2011/6/12 21:36 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2020/5/9 17:50 | 最終変更
あらすじで、更にはの所が更にあになっていますよ。訂正願います
__
ご指摘ありがとうございました。該当箇所を訂正しました。(2020/5/9)
ゲスト  投稿日時 2019/7/16 22:39
既に出ていますが、類似の話でむりどんと古家のもりを加えてもよろしいかと思います。
ゲスト  投稿日時 2016/1/20 10:09
埼玉県(特に秩父地方)では、狼信仰が盛んです。
原作は別にあり、埼玉県で根付いたものと思います。

狼信仰とは
奥多摩や秩父を中心に狼信仰の神社が全国的に存在します。
御利益としては、火難・盗難除け、安産など。狼が火を嫌うことから火難、子どもを沢山産むことから安産などの御利益があるとも言われています。
また、今からおよそ百年前、狼が山に生息していた時代は、田畑を荒らす鹿や猪を狼が食べてくれていたことから豊穣の神様として敬い、身近な存在であったことから「お犬さま」と呼んで慕っていました。その反面、子どもや女性が食べられてしまうなど、恐ろしさも抱きながら、当時の人々は共存していたようです。
それは、地域の民話や伝承、狼が絶滅してしまった今も伝わる農村部の人々の暮らしに根付く信仰心、現在にも細々と存在し続ける狼信仰の存在から知ることが出来ます。
http://ookami-project.jimdo.com/history/%E7%8B%BC%E4%BF%A1%E4%BB%B0%E3%81%A8%E3%81%AF/
ゲスト  投稿日時 2016/1/20 9:58
むりどん  (千葉県市川市 本塩 地区)
収載資料名:市川のむかし話 続・市川のむかし話 改訂新版
「茅葺き屋根、雨もり、さし茅、とらおおかみ、村はずれのぶっくれうち(やぶれた家)」
http://opac.city.ichikawa.chiba.jp/cgi/search500.cgi?CHIKU=%96%7B%89%96

市川市にも「むりどん」のお話はあるようです。
ゲスト  投稿日時 2016/1/20 9:46
むりどん   話者: 清水 こと  再話: 井田 安雄(群馬県新田郡藪塚)S52

むかあしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがあったと。 住んでいる家はもう古くなって、雨の降るときはポタンポタン雨漏りがしていたんだと。

ある夜、おじいさんがおばあさんに、 「世の中で、なんていったって、一番怖い物はオオカミだな」というとおばあさんは 「オオカミも怖いけどおじいさん、わしゃむりどんが一番怖いよ」おじいさんも 「そうだな、こんな時はむりどんのほうが怖いかもしれないな」と話していたんだと。

そのとき、やまのオオカミがおじいさんの飼っている馬を食おうと、家の外に来ていたが この話を聞いて 「俺が一番強いと思っていたが、俺より怖い物がこの世にいるのか。いったいむりどんってなんだろう」と独り言を言って思わずウオーと吠えたんだと。

家の中のおじいさんは、オオカミの声を聞いて、たまげて大声を上げて、馬に飛び乗ってにげだしたんだと。

だが、お爺さんの乗ったのは馬ではなくて、ほんとはオオカミだったのさ。オオカミはたまげてしまったよ、自分の背中に乗り、首っ玉をしっかり押さえられたので、これは、てっきり自分より怖いむりどんに違いない。とって食われれてはたまらないと思って夢中で駆けだしたんだと。

おじいさんはおじいさんで、振り落とされちゃあ困ると思って、首っ玉に思いっきりの力でしがみついたんだと。オオカミは、首を絞められるんで、食われちゃ困ると背中のむりどんを振り落とそう、振り落とそうと、やたらに駆け回ったんだと。

さんざ山の中を駆けたあげく、夜明け近くなって、お爺さんがのっていた、馬をよく見ると、それがオオカミだったので、お爺さんは、また、たまげて 「ウワアー」と大声をだして、しがみついた手を離して背中から飛び降りたんだって。 オオカミはオオカミできつかった首が楽になり、むりどんを背中から落とせたので一安心、やっとの事で助かったと思って、あとも見ずに山の中に逃げていったとさ。
http://ecotourism.or.jp/kusatsu-fo/archives/2009/20091106ousen.html
ゲスト  投稿日時 2016/1/20 9:40
《グンマを話そう》 むりどん
 ある昔、おじいさんとおばあさんが雨漏りのする古屋に住んでいた。 おじいさんんが「世の中で一番怖いものはオオカミだな」と言うと、おばあさんは「いや、むりどんが一番怖いよ」と言った。 この話を家の外で盗み聞きしたオオカミは、「おれさまより怖いむりどんって、何様だ!」と思わずうなってしまった。 この声に驚いたおじいさんは馬小屋にいた馬に乗って一目散に逃げ回った。
 おじいさんは、食われるのはいやだと思いっきり馬にしがみつたが、それは馬ではなくてオオカミだった。 オオカミにしてみれば、いきなり背中に何かが力一杯取り付いて離れない、「これがあの恐ろしいむりどんか!」と必死に逃げ回った。 おじいさんは馬ではなくて狼だった事に気がつき、お諏訪さまのお堂の中へ逃げ込んだ。
 オオカミは山の獣を集めて「おれよりキツイむりどんがお堂の中に入る。だれか調べて来い」と言った。 くじ引きの結果、弱虫のサルが見に行くことになった。 当時のサルは尻尾が長かったのでおそるおそる尻尾をお堂の中に入れてみた。 お堂の中にいたおじいさんは驚いてこの尻尾を思いっきり引っ張った。 驚いたサルが大声で「ギャ~!」と叫んだので、獣はみんな逃げてしまった。 尻尾が抜けないサルは、真っ赤な顔になりながらありったけの力をこめて尻尾をもいで逃げていった。
 これ以来、サルの顔は赤く・尻尾は短くなった。
http://yamada.sailog.jp/weblog/2013/07/post-41ea.html
シメジ  投稿日時 2015/6/23 7:28
似たような内容で[ふるやのもり]というのも日本昔ばなしでありましたね
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