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大年の客(おおどしのきゃく)

放送回No.1229(0777-A)
放送日1990年12月22日(平成02年12月22日)
出典(表記なし)
クレジット演出:児玉喬夫 文芸:沖島勲 美術:阿部幸次 作画:上口照人
ナレーション常田富士男

親切な婆さまの所に七福神がやって来る

むかし、村はずれの小川のほとりに、1人の婆さまが住んでいた。婆さまは、家の前の小さな田んぼを耕して暮らしており、今年は2升ばかりの米を刈り入れることができた。

さて、暮れも押し迫ってその年の大晦日、婆さまは田んぼを借りている地主の所に、年末のあいさつに出かけることにした。婆さまは、田んぼで取れた米1升を持って川下の地主の家へと向かう。

地主の屋敷は村でも一番大きく、婆さまが地主の家に来ると、すでに座敷には歳暮の品々が山のように積まれていた。婆さまは地主にお礼を述べ、持ってきた米1升を渡した。すると何としたことか、地主は婆さまからもらった米を庭に撒き、鶏のエサにしてしまったのだ。

地主は言う、「なんじゃあ、ただの米粒だけか?鶏どもがコッコ、コッコ言うとるじゃろ。あれは、こげなもの、こげなものと言うとるんじゃよ。」婆さまは、地主の態度にすっかりあきれて、泣きたい気持ちで屋敷を後にした。

ところで、地主の家の神棚に祀られている七福神は、この一部始終をご覧になって、なにやらヒソヒソと話を始めた。神様たちは、地主の冷たい態度に愛想を尽かし、この家から出て行こうと話しておられたのだ。

さて、その晩のこと、神様たちは宝船に乗って地主の家を後にした。宝船の向かう先は、川上の婆さまの家である。婆さまがその晩、囲炉裏のそばに座っていると、「ごめん下され。」と外で声がする。婆さまが戸を開けると、そこには7人の旅人が立っている。旅人は、雪に降られたので、婆さまの家に1晩の宿を借りたいと言う。婆さまは、快く旅人たちを家の中に迎え、旅人たちと部屋に寝かせると、自分は物置で寝ることにした。

こうして元日の朝を迎え、婆さまが朝の支度をしようと土間に入ると、なにやら部屋の中が明るい。婆さまが障子を開けると、何とそこには旅人ではなく、金で出来た七福神像があったのだ。それからと言うもの、婆さまは、やること為すこと全てがうまく行き、いっぺんに大金持ちになったそうだ。

ところで、大晦日の夜にもう一つ引越しがあった。実は、婆さまの家には7人の貧乏神がいたのだ。ところが地主の家から七福神が来て、居心地が悪くなったので、貧乏神たちはたまらず家を出ることにした。7人の貧乏神は、ボロ船を漕いで川を下って行った。目指す先は、もちろん地主の家だった。

 

(投稿者: やっさん 投稿日時 12-24-2011 8:57)


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