放送回 | No.1221(0772-A) |
放送日 | 1990年11月03日(平成02年11月03日) |
出典 | (表記なし) |
クレジット | 演出:こはなわためお 文芸:沖島勲 美術:渡辺由美 作画:柏木郷子 |
ナレーション | 市原悦子 |
備考 | 大分県の民話(偕成社)に収録されている |
むかしむかし、山の中に貧しい村があって、村人達は山の畑で蕎麦や粟を作って暮らしておりました。
そうしてこの村に住む働き者の爺様の蕎麦畑が、近頃猿に荒らされるのでした。爺様は困って考えた末、蕎麦の粉を体中に塗って畑の傍に座り、お地蔵様のふりをして猿を捕まえることにしました。
次の日、爺様がお地蔵様のふりをしていると猿が現れました。猿達は、爺様を本物のお地蔵様だと思いこみ、爺様を担いで山のお堂に運び始めました。爺様がお地蔵様のふりを続けていると、猿達は爺様を担いだまま「猿のおケツは濡らすども、地蔵のおケツは濡らすでねえ♪」と歌いながら川を渡りました。爺様はこの歌が可笑しくて、笑い出しそうになるのを必死で我慢しました。
やがて猿達は爺様のお地蔵様を山のお堂に運びこむと、小判のお賽銭を投げ込んで拝みました。そうしてあっという間にいなくなってしまいました。
日暮頃、爺様は小判を持って家へ帰り、今日あったことを婆様に話して聞かせました。そうして、ちょうど訪ねてきた隣の欲張り婆さんにも、同じ話を聞かせました。それを聞いた欲張り婆さんは、夫の欲張り爺さんと一緒に先ほどの話を真似して、小判を手に入れようと考えたのでした。
次の日、欲張り爺さんは蕎麦粉を被り、お地蔵様のふりをして山の畑に座りました。すると猿達が現れて、昨日と同じように欲張り爺さんを山のお堂へ運び始めました。ところが、隣の爺さんは川を渡る時に猿達の歌を聞いて、大声で笑ってしまったのです。「なんじゃ、この地蔵。偽物じゃ!」と、猿達は怒って欲張り爺さんを引っ掻き、川の中に放りだしてしまいました。
日暮頃、欲張り爺さんは家に帰ってきました。欲張り婆さんは、爺さんが小判を一杯持って帰って来たと思って喜んで出迎えましたが、爺さんは何も持たず体中傷だらけで泣きながら帰って来たのでした。欲をかいて人の真似をして、罰があたったのでしょう。
(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-10-19 13:38)