放送回 | No.1215(0768-A) |
放送日 | 1990年10月06日(平成02年10月06日) |
出典 | (表記なし) |
クレジット | 演出:しもゆきこ 文芸:沖島勲 美術:しもゆきこ 作画:大西治子 |
ナレーション | 市原悦子 |
備考 | 出典元不明ですが、初期版のリメイク版である点をふまえ「熊本県」としています。 |
むかしむかし、里から少し離れた山奥に一人の貧しい男が住んでいました。男は、町まで薪を売りに行く途中で、竜神様の祀られている淵にお参りをするのが常でした。
ある日のこと、男が竜神様の淵に売れ残った薪をお供えすると、不思議なことに薪はスルリと淵へ吸い込まれていきました。そこで男が持っていた薪を全部お供えすると、淵から竜神様の使いが現れて、薪の御礼に、男に何でも願いを叶えてくれる『はなたれ小僧様』を下さいました。その代わり、毎日朝夕2回はなたれ小僧様に海老なますを食べさせなければいけません。
男ははなたれ小僧様を家につれて帰り、布団や着物、屋敷、米、餅、酒に肴、金と、ありとあらゆるものを出してもらいました。はなたれ小僧様が、ずずいっと鼻をすすりあげると、あっという間に何でも望みの物が現れるのです。男は大喜びで、それから毎日、朝と夕方に川で海老を獲り、はなたれ小僧様に海老なますを食べさせました。
ところが何不自由ない生活を手に入れると、男はだんだん海老を獲るのがおっくうになってきました。そこで、男は人を雇って海老を獲らせ、海老なますを作らせました。ところが、はなたれ小僧様はそんな海老なますを食べようとしないのでした。
男は腹を立てて、はなたれ小僧様に海老なますを食べさせるのを止めてしまいました。するとはなたれ小僧様が「海老なます!海老なます!」と騒ぐので、男はほとほと嫌になって「最後の願いじゃ!竜宮に帰ってくれ!」と叫びました。
それを聞くと、はなたれ小僧様は何にも言わずに外に出て行き、屋敷の前でずずいっと鼻をすすって消えてしまいました。すると、何もかもがたちまち消え失せ、男はもとの貧しい暮らしに戻ってしもうたということです。
(投稿者:ニャコディ 投稿日時 2015/2/3 20:54)