放送回 | No.0121(0074-A) |
放送日 | 1977年03月05日(昭和52年03月05日) |
出典 | 松谷みよ子(講談社刊)より |
クレジット | 演出:漉田実 文芸:漉田実 美術:阿部幸次 作画:高橋信也 |
ナレーション | 市原悦子 |
備考 | 採録地は転載された本(日本の伝説上巻,松谷みよ子,講談社,1975年5月15日)で確認 |
昔、越後の国の鯨波(くじらなみ)に玉屋の徳兵衛(とくべえ)という男がいた。徳兵衛は大変な働き者で、朝から晩まで休みなく20年働き続け、大変な金持ち長者になった。
きれいで若い嫁さんをもらい、玉のような男の子にも恵まれ、何一つ不足のない暮らしを送っていたが、財産が増えれば増えるほど、泥棒に入られやしないかと心配で夜も眠れなくなった。ふと、徳兵衛は考えた。「蔵の金銀を裏庭の椿の根元に埋めて隠してしまおう」
さっそく金銀を埋めた徳兵衛は、すっかり安心して湯治に出かけた。温泉につかっていると、どこからか歌が聞こえてきた。「越後鯨波、玉屋のツバキ、枝は白銀、葉は黄金~」それを聞いた徳兵衛は大慌てで家に帰り、椿を確認すると、なんと椿は歌詞の通りに金銀で輝いていた。
隠していた金銀を椿に吸い取られたと思った徳兵衛は、そのまま寝込んでしまった。徳兵衛は、嫁さんに椿の根元に埋めた金銀の事を話し、自分が死んだら掘ってみよ、と言い残し息を引き取った。嫁さんは徳兵衛の言いつけどおり、椿の根元を掘ってみたが何も見つからなかった。
現在では、玉屋のあたりは海の底となり、どういうわけだかその辺りの波だけはキラキラと金銀のように輝いているそうな。
(紅子 2011-8-27 8:38)
地図:鯨波(地図は適当) |