放送回 | No.1171(0739-A) |
放送日 | 1990年03月03日(平成02年03月03日) |
出典 | (表記なし) |
クレジット | 演出:森川信英 文芸:沖島勲 美術:安藤ひろみ 作画:森川信英 |
ナレーション | 市原悦子 |
備考 | 出典元不明ですが、初期版のリメイク版である点をふまえ「岐阜」としています。 |
![]() |
![]() |
![]() |
昔、ある所に正直なお爺さんとお婆さんが住んでいました。ある寒い日、川で凍え死にそうな子犬を拾い、「シロ」と名付けて我が子のようにかわいがりました。
ある日シロが、お爺さんとお婆さんを裏の畑に連れ出し「ここ掘れワンワン」と吠えました。そこでお爺さんがシロの足元を掘ってみると、大判小判がざっくざっくと出てきました。それを知った隣の意地悪爺さんと婆さんが、嫌がるシロを裏の畑に連れ出して真似して掘ってみましたが、お宝どころか沢山のお化けが出てきました。怒った意地悪爺さんと婆さんは、シロを殺してしまいました。
正直爺さんと婆さんは、泣きながらシロのお墓を作り、一本の枝をさして弔いました。するとその枝は、あっという間に大きな木に成長し、お爺さんはその木で臼(うす)を作ってお餅をついてあげました。不思議な事にその餅は、大判小判に変わりました。隣の意地悪爺さんと婆さんも、その臼を借りて餅をついてみましたが、全部が石ころに変わりました。怒った意地悪爺さんと婆さんは、シロの臼をたたき割り風呂の焚き木にして燃やしてしまいました。
悲しみに暮れた正直爺さんと婆さんは、泣きながら燃えカスの灰を持って帰りました。灰が風に飛ばされ木に降りかかると、きれいな桜の花が咲きました。たまたま通りかかった殿様が、桜の美しさに大喜びし褒美を取らせようとすると、そこへ意地悪爺さんと婆さんが乱入してきました。殿様のご褒美を横取りしようと、真似して囲炉裏(いろり)の灰をぶちまけると、花が咲くどころか殿様が灰まみれになってしまいました。
意地悪爺さんと婆さんは、怒った殿様に逮捕されましたが、正直爺さんと婆さんに免じて許してもらいました。そうして隣の意地悪爺さんと婆さんは、シロに可哀そうな事をしたと深く反省し謝りました。
この村はシロの咲かせた桜の花のおかげで、どこよりも早く春がやってきたそうです。
(紅子 2011-10-12 23:48)