昔、石川県の河田(こうだ)のお宮に、大きなうろ(穴)のある椎の木がありました。
ある日、この村の地主の喜平さんの屋敷に、どこからか小石が飛んでくるようになりました。この投石は毎晩続き、そのうち屋敷のあちこちで昼夜問わず、謎のポルターガイスト現象が起こるようになりました。
この超常現象にすっかり恐ろしくなった喜平は、村の世話役の半助さんに相談してみました。半助さんが「小石で誰かを困らせたりしてないか?」と聞くと、子守女中はハッと思い出しました。この子守女中はぐずる子供を喜ばせるため、いつも椎の木のうろの中に小石を投げ込んで遊んでいたのです。
沢山の小石を詰められて困った椎の木が、村の権力者である喜平さんに悪さをしたのでしょう。子守女中は、椎の木にたくさん詰まった小石をきれいに取り除き、深く謝りました。
(紅子 2011-12-4 20:00)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 清酒時男(未来社刊)より |
出典詳細 | 加賀・能登の民話 第一集(日本の民話21),清酒時男,未来社,1959年08月31日,原題「シイの木のうろ」,国府村史より |
場所について | 小松市河田町の八幡神社 |
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