No.1149
かもこのぬし
加茂湖の主
高ヒット
放送回:0725-B  放送日:1989年11月18日(平成01年11月18日)
演出:小林治  文芸:沖島勲  美術:千葉秀雄  作画:亜細亜堂
写真あり / 新潟県 ) 56797hit
加茂湖の主に目をつけられて怪死した強欲長者の話

昔、佐渡の加茂村に武右衛門(ぶえもん)という長者が住んでおりました。この武右衛門は大変強欲で情け容赦のない冷たい男でした。武右衛門は、一刻も早く加茂湖を埋め立てて土地を増やし、佐渡一番の長者になりたいと野心を抱いておりました。

しばらくして始まった加茂湖の埋め立て工事に、漁師達は止めてくれるよう必死に懇願しました。ついに堪忍袋の緒がきれた漁師の茂平は、武右衛門を奉行所に訴えでましたが、お奉行に根回ししていた武右衛門の手によって、逆に土地を永久に追い出されてしまいました。

そのお裁きのあった満月の晩のことです。秋津村(あきつむら)を通りがかった武右衛門とお伴の長兵衛は、長江川のそばで一人の娘が立っているのに気づきました。声をかけると釜屋村(かまやむら)の家に帰るところだと言います。娘の美しさに下心を出した武右衛門は、送ってやると申し出て、長兵衛の提灯をふんだくり、娘の肩を抱き寄せながら行ってしまいました。

仕方なく長兵衛が一人で帰っていると、背後から青白い顔をしたお奉行が声をかけてきました。「あの娘は、生(しょう)のある者ではない」と長兵衛に告げて死んでしまいました。長兵衛は驚いて、武右衛門の後を追いかけましたが、そこで見たのは娘が武右衛門の生き血を吸っているところでした。驚く長兵衛の目の前で、二人はいつのまにか姿を消してしまいました。

長兵衛があわてて二人を探すと、不思議な事に二人は加茂湖で水面に立って踊っていました。その異様で恐ろしい様子に、長兵衛は叫び声をあげて村に逃げ帰りました。知らせを聞いた村人や漁師たちが湖をあちこち探すと、明け方ごろ武右衛門の遺体が加茂湖の底から浮き上がってきたのでした。

村人達は加茂湖の主の恐ろしい仕返しに震え上がったということです。

(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-7-9 14:11 )


ナレーション常田富士男
出典浜口一夫(未来社刊)より
出典詳細佐渡の民話 第一集(日本の民話18),浜口一夫,未来社,1959年04月30日,原題「加茂湖の主」,怪談藻塩草より
現地・関連お話に関する現地関連情報はこちら
場所について佐渡の加茂湖
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地図:佐渡の加茂湖
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※掲載情報は 2012/7/9 22:15 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
10件表示 (全19件)
ゲスト  投稿日時 2020/9/5 6:24
ブエモン→ちびまる子に出てくる花輪クンの先祖
頭方  投稿日時 2018/11/30 10:04
下唇おじさん、悪徳奉行役として登場。ちなみに主人公の武右衛門は本当は加茂湖を干拓させた名君と言われているので、この話はそれに反対した一部の村人達が一目入道の伝説と組み合わせて作ったのではないでしょうか。
夾竹桃  投稿日時 2018/7/12 1:54
村人が武右衛門と役人を殺したのではないか?という説、いいと思います!
武右衛門が奉行所に根回ししていたことが彼の回想でわかる点にも、闇を感じます。想像が膨らみます(´∀`)

ところで武右衛門さんは、まんが日本昔ばなしの中では美形キャラなんですかね?声が…
ゲスト  投稿日時 2018/4/21 17:49
下唇叔父さんは憎めないけど、その前に武右衛門と加茂湖の主が怖い。
ゲスト  投稿日時 2017/11/8 15:30
怪異と、人間の欲望や激情の恐ろしさが描かれていますね(茂平は武右衛門に直接嘆願しますが、武右衛門が聞かなかったため石で殴りかかりました)。
役人も怪死していますが、娘の仕業でしょうか?血を吸った者を操っている?
踊りのカクカクした動きと、囃子のような音楽が怖かったです。

何度か見ているうちに、武右衛門が娘に血を吸われて少し恍惚としているように見えてきたのですが、気のせいでしょうか?

あと、長兵衛がバカっぽくて和みます。
ゲスト  投稿日時 2016/1/10 12:54
一目入道 ひとつめにゅうどう *加茂湖の主、隻眼の大河童*
佐渡島で最も大きな湖、加茂湖(かもこ)には昔から主が住んでいると言い伝えられている。伝承によるとその主は、頭頂部の皿に当る部分に巨大な単眼を持った堂々たる体躯の「河童」によく似た妖怪だそうで、その巨大な単眼から人々はこの主を「一目入道」(いちもくにゅうどう)と呼んだ。
「一目入道」は他の名だたる「河童」達のように進んでヒトに悪さを働く事も無く、他所の「河童」の領土を乗っ取ろうとするでもなく、加茂湖の中でひっそりと暮らしていたようだ。義理堅い性分でもあったらしく、駒牽き(「河童」の属性のひとつで、馬を水中に引き摺り込む悪戯)に失敗して馬方の怒りを買ったものの許され、礼として定期的に馬方に魚介類を届けた、と言う説話も残る。
然し、そんな心穏やかな「一目入道」も、自身の縄張りである加茂湖を護る為なら時には闘いや報復も辞さなかったようだ。…こんな伝承がある。
嘗て、加茂湖を干拓して農地にし、私服を肥やそうと試みた豪農がいた。ある年の祭りの日、豪農は近隣の農民と共に祀り見物に出かけたが、其処へ現れたのが見かけない美女。美しい娘の手招きにふらふらと付いていった豪農の様子があまりにもおかしかったので、訝った同行者がこっそりと後をつけると、娘と豪農は加茂湖の水面をまるで地面を歩くように渡って行く。恐ろしさのあまり同行者はその場から逃げ出し、翌朝、日が昇ってから大勢の村人を伴って湖に出向いた所、其処には縊り殺された豪農の変わり果てた姿があった…。人々は「加茂湖の主に魅入られたに違いない」と恐れたと言う。
伝承では主の詳細を明らかにしていないが、加茂湖の主を「一目入道」だとする説は非常に古くから存在したようなので、恐らくこれは「一目入道」が加茂湖を守る為に行ったのだろうと推測される。
加茂湖の辺には、今でも「一目堂」と言う、「一目入道」を祀った祠が静かに湖面を見下ろしている。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~c-panda/28907647/

一目入道は加茂湖の主であり、頭上に一つ目を持つ。ある日、一目入道が湖から上がってみると、1頭の馬が繋がれていた。入道は好奇心から馬に跨り、遊び始めた。

そこへ馬主がやって来て、入道は捕らわれてしまった。陸上では入道も手も足も出ず「ご勘弁下さい。その代わりにこれから毎晩、瑠璃の鉤で一貫の鮮魚を捕らえて献上します。但し魚を採るのに必要なので、鉤だけはお返し下さい」と言った。馬主は面白がって約束を受け入れ、入道を放した。

翌朝に馬主が湖へ行ってみると、約束通り取れたての魚が鉤に掛けられていた。馬主は喜び、入道が言った通り鉤を湖へ返し、魚を持ち帰った。こうしたことが何年も続いた。

ある日、馬主は悪い考えを起こし、約束を破って鉤を返さずに持ち帰った。すると入道は魚を貢がず、それどころか毎年正月15日に馬主の家を襲うようになった。馬主は一晩中念仏を唱え、危機を免れようとした。こうして入道の祟りが無くなった頃、馬主は観音堂を建て、本尊の白豪(びゃくごう。仏の眉間にあって光を放つという白い毛)に入道の鉤をはめた。
新潟県両津市潟端の中野浦観音堂では、1月16日に「目一つ行事」といって、堂をのぞき込む入道から本尊の観音を守るため、男衆が堂にこもり、大声や物音で入道を追い払う行事がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E7%9B%AE%E5%85%A5%E9%81%93
ゲスト  投稿日時 2016/1/10 10:18
実は加茂湖の主は一目入道という妖怪で、それに伝わる話が今も加茂湖辺りに残っているそうです。
ゆすらうめ  投稿日時 2015/4/3 21:48
加茂湖の主というタイトルだったのですね。

このお話、子供の頃に見てめちゃくちゃ怖かった記憶があります。
目をつぶって、時々目をそーっと開けて、見ていました。その時映っていた、夜の湖で妖しげに踊る男女の姿がずっと忘れられませんでした。


最近になり、あの話はなんという話だったんだろう?と気になりだし、「日本昔話」「湖」「恐い」という検索ワードでこちらに辿り着きました。
お陰様でタイトルとストーリーを知ることが出来ました。

ありがとうございました!!
じゅりあちゃん  投稿日時 2014/9/15 22:19
 下唇おじさん(別名 アゴ吉さん)、悪徳奉行で登場。
くるみ  投稿日時 2013/5/25 22:11
小学生の頃、学校から帰って、親もまだ仕事から帰っていない時間帯だったかな。。
一人だいすきな昔話を見ていた時、まさにこのお話でした。

娘が首筋に噛みついて血を吸うシーン。。

「ぎゃぁぁぁあああああああーー!!!」
叫びながらテレビを消しました(笑)

もう、怖いシーン終わったかな・・?と思い、数分後テレビを付ける。
(怖いなりにもちょっと気になっていた。)
そしたら、ちょうど武衛門の亡骸が湖の底から上がってくるシーンで


「ぅうわぁぁぁぁああああああああああーーーーッッ!!!!」(絶叫)

以降、しばらくの間トラウマに・・。

大人になった今、あの話はなんだったろうか?
必死で調べた結果、(ネット上で、「昔話」「水の上」「阿波踊りのような」等のキーワードで調べました)
加茂湖の主と判明。

ありがとうございました!!
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