放送回 | No.1145(0723-A) |
放送日 | 1989年11月04日(平成01年11月04日) |
クレジット | 演出:山田みちしろ 文芸:沖島勲 美術:千葉秀雄 作画:山田みちしろ |
昔、ある所に、もうすぐヒナが孵ろうとしている卵を抱えたウズラの夫婦が居た。
日夜卵を抱えて温める母ウズラを気遣って、父ウズラはヒナを楽しみに甲斐甲斐しく世話をする仲のいい夫婦だった。
そんなある時、夫婦の巣を囲む野原で火事が起こった。迫り来る火の手に恐れをなした父ウズラは、「卵はまた産めばいいのだから逃げよう」と母ウズラを連れて逃げようとするが、母ウズラはもうすぐ生まれる卵を置いて逃げられないと拒む。
そしてとうとう父ウズラは巣と卵ごと母ウズラを置いて逃げ出した。母ウズラは茫然とするが、火の手はそこまで来ている。
一か八か、母ウズラは覚悟を決めて巣の周りの草を刈り取り始めた。漂ってくる煙と熱に目を回しながらも、母ウズラは嘴で必死に草を刈り取り、息も絶え絶えになって巣に戻ってくると卵に被さって気を失った。
母ウズラが目を覚ますと、巣の周りだけ丸く焼き残して火事は収まっており、体の下ではついに卵から可愛いヒナが孵っていた。
そこへ、やはり心配になったのか父ウズラがとぼとぼと戻ってきた。死んだだろうと思っていた家族の姿に感激し、駆け寄ろうとした父ウズラだが、母ウズラに物凄い剣幕で追い立てられた。
「あんたなんか父親でも何でもない」と泣きながら怒る母ウズラに追われ、巣を遠巻きに見つめる父ウズラ。見かねた母ウズラは、お祝いに酒と魚を取ってきたら許すと言い、父ウズラは喜び勇んで調達に駆け出した。
人間の飲物である酒は、人間の酒屋の店先に忍び込み、カタツムリの殻で樽から盗む父ウズラ。だが見つかって父ウズラは棒でしたたかに叩かれ追われた。
そして海で魚を捕まえようとしては溺れかけ、死にそうになりながらも、これも家族の為、と力を振り絞って立派な鯛を陸に揚げた。
それらを持ち帰って和解した父ウズラは、仲良し夫婦に戻り、優しい父になって家族で仲良く暮らしたそうな。
(投稿者:すず猫 投稿日時 2014/3/22 22:10)