No.1109
うしおに
牛鬼
高ヒット
放送回:0699-B  放送日:1989年05月20日(平成01年05月20日)
演出:芝山努  文芸:沖島勲  美術:亀谷三良  作画:海谷敏久
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あらすじ

島根のある漁村に隠棲する侍の夫婦があった。妻の方はとても出来た人で、「俺は侍を捨てた身だ」とうそぶく夫を支え、愚痴をこぼさず仕えていた。
 

村人も侍には親切で、獲れた魚やら野菜やらを届けては何くれと無く気を使い、侍の方も子供に読み書きを教えたり、村人の相談に乗ったりしていた。

ある日、米を切らせてしまい、村の誰かに米を少し借りようと侍が外に出ると、村人達が大破した漁船を囲んで恐ろしげに何やら話しあっている。聞けば「牛鬼が出た、船が襲われた」との答え。そして成り行きから、侍は村人と共に牛鬼退治に加担する羽目になってしまう。

そ の夜。嫌な事を引き受けた気晴らしに侍が夜釣りに出ると、その日は面白い位の入れ食いであった。どっさり魚を釣ってほくほく顔の侍の前に、突然妖しい女が 赤子を抱えて現れ「赤子に喰わせるから釣った魚をくれ」と言う。女のただならぬ雰囲気に驚きつつも侍が求めに応じて釣った魚を差し出すと、赤子は生の魚を 頭からぼりぼりと、一尾残さず貪り喰ってしまった。

更に女は「腰の物をくれ」と言い、侍が腰に差して居た刀を奪ってこれも赤子に食わせてしまった。侍が驚 いていると女は赤子を侍に押し付け、あっと言う間に海中に没してしまう。同時に海の水が盛り上がり、海の中から異形のものが姿を表して侍に襲いかかって来 た。それこそが牛鬼であり、女は牛鬼の化けた姿であったのだ。

同じ頃、家で一人待つ妻が針仕事をしていると、不意に指を針で突いてしまっ た。不吉な思いに駆られていると、突然奥の間に飾ってあった刀がかたかたと動き出し、ひとりでに鞘から抜け出して、風のように消えてしまった。その刀は夫 が「侍を捨てた身には不要」と売り飛ばそうとしていた物を、妻が押しとどめていた品であった。

一方、侍は押し付けられた赤子を捨てて逃げ ようとしていたが、赤子は大きな石になって侍の手に吸いつき、その重みで走る事が出来ない。迫る牛鬼。まさに進退きわまったその時、虚空からあの刀が飛んできて牛鬼の眉間を貫いた。牛鬼は夥しい血を流し、苦悶の内に海中に消えた。こうして、侍は一命を取り留めたのだった。

(投稿者: 熊猫堂  投稿日時 2012-10-8 7:59)


参考URL(1)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/0640516.shtml
ナレーション常田富士男
出典大庭良美(未来社刊)より
出典詳細石見の民話 第一集(日本の民話67),大庭良美,未来社,1978年07月31日,原題「うしおに」,原話「温泉津町の伝説」
場所について牛鬼が出没する波路浦あたり(地図は適当)
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地図:牛鬼が出没する波路浦あたり(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/10/8 10:25 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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Perenna  投稿日時 2021/12/2 22:57
牛鬼について、もう少し調べてみました。
大正15年に出版された「幽冥界研究資料」という本には、「海の妖獣牛鬼」として紹介されています。(コマ番号109/236)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/977094/109

石見国那賀郡浅利の牛鬼の話として、土地の旧家の折谷という人の先祖伝来の護り刀が、主人の危難を救ってくれたと書かれています。
島根県石見地方に伝わる牛鬼(濡れ女)伝説には、いろんなバージョンがあるみたいですね。
Perenna  投稿日時 2021/12/2 22:34
この昔話は、角川書店「出雲・石見の伝説」でも紹介されています。

「さて、石見を代表する妖怪に牛鬼というのがある。頭が牛で一本の角があり、体は鬼の形で日中は姿を見せず、海の中から夜、女などに姿を変えて現われると考えられており、海岸部沿いにこの伝えが多く見られる。
昔、浅利町に森山玄蔵という夜釣りの大好きな神主がいた。ある日、いつものように夜釣りに行くと、釣れるとも釣れるとも、不思議なくらいよく魚が釣れた。気づいて見ると、波の上に赤ん坊を抱いた濡れ女が立っているではないか。瞬間、彼は“牛鬼!”と気づき逃げようとすると、女は海の上を歩いてきて「この子に魚を一匹ください」と泣くように言う。彼は言われるままに魚を手渡し、わが家へ懸命に走ると、女は追ってきて「もう一匹ください」と言う。次々と魚を渡して行くうちに、今度は「この子を抱いて」と頼む。魔性に魅入られたように受けとると非常に重く、しかも赤ん坊は胸にしがみついて離れない。女はにたりと笑い、スーッと消えてしまった。彼は赤ん坊を抱いたまま、それでも必死でわが家へ向かっていると、正体を表わした牛鬼が迫ってくるではないか。
一方、家では玄蔵の守り刀がひとりでにガタガタ揺れはじめた。気になって女房が戸を開けると、刀身は鞘(さや)から抜け出し、矢のように外へ飛んで行き、牛鬼の頭に突き刺さった。すさまじいうめき声とともに牛鬼は倒れ、今まで彼から離れなかった赤ん坊がストンと岩の上に転がり落ちた。玄蔵は危ないところを助かった。
翌朝、一同がそこへ行ってみると、岩の上は血糊(ちのり)で染まっていた。そして以後、ここらあたりでは、牛鬼は二度と出なくなったという。」

この昔話は場所によって、主人公が神主だったり武士だったり、職業が異なって伝えられているみたいですね。
ゲスト  投稿日時 2016/11/12 0:58
怖い話なのに後味が良く感じます
これは牛鬼を退治してハッピーエンドだからというだけではなくて、登場する人間がみんないい味出してるんですよね
主人公は侍としての誇りもあってか気丈に振る舞いながらも威張り散らすような悪い人でないのが滲んでいるし、ちょっと抜けてて憎めない
妻はそんな夫を嫌味なく立てつつも一枚上手という感じで頭がいいのが伝わってくるし
村人たちはいうまでもなく人がいいし

我ながら語るべき部分がずれている気がしますが、
複数人のキャラクターの人柄を短時間で、限られたセリフや仕草からここまで描写できるのは流石プロだなあと…
もちろん目玉である牛鬼も怖くて良いですよ!
匿名希望。  投稿日時 2014/3/18 10:10
一説では、妖怪ぬれ女と牛鬼がペアになって人間を襲う事もあります。
昔、ある妖怪の本で見たら。
他にも、妖怪舌長ばばあが朱の盆と一緒に、人間を襲う事があったそうです!
熊猫堂  投稿日時 2012/10/8 7:42
好きな話の一つです。「牛鬼淵」とは違った怖さがあると思います。
牛鬼の血しぶきが緑色なのは・・・この頃から所謂残虐描写に対する規制が厳しくなったのでしょうか。色々と背景が気になります。
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