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名刀の切れあじ(めいとうのきれあじ)

放送回No.1069(0675-A)
放送日1988年11月12日(昭和63年11月12日)
クレジット演出:又野龍也 文芸:沖島勲 美術:渡辺由美 作画:又野龍也
ナレーション常田富士男

あらすじ

むかし、土佐の土佐山村の中切(なかぎり)という所に、人にいたずらを仕掛けては喜ぶ庄屋がおった。

たとえば、夜中、庄屋は鬼の面をかぶって臆病な下男の恒平(つねへい)を驚かすのじゃった。障子に映った鬼の影を見て恒平は便所にも行けず、布団をかぶって一晩中震える始末。ほんに人を困らせるのが生きがいのような庄屋じゃった。

ある日、庄屋は夜中に恒平をお使いに出し、鬼の面をかぶって真っ暗な峠で驚かしてやろうと考えたそうな。

隣村(鏡村 穴川)の庄屋に手紙を届けて来いと命じられた恒平は、恐ろしくて仕方なかったが、守刀として庄屋屋敷の宝『名刀 青江祐定(あおえすけさだ)』を借りることにした。庄屋は気前良く、祐定を恒平に貸したが、こっそり中身を竹光にすり替えておいたのじゃった。

さて、恒平は刀の中身が竹光とも知らず、真っ暗な山道を隣村へと歩いて行った。恒平が、『伸び上がり坂』と呼ばれる急な坂道を登り切り、峠まで来た時、「人 かぁ~喰おうかぁ~」と、庄屋が化けた鬼が現れた。鬼が大石を投げつけてきたので、覚悟を決めた恒平は竹光をスラリと抜き大石を切り払った。すると驚いた ことに、確かに庄屋が入れ替えたはずの竹光が、大石をばらばらと切り裂いてしもうた。

「なんでじゃ、切れるはずのない竹光が……」庄屋は慌てて、竹光を持って斬りかかってくる恒平から逃げ回った。結局、庄屋はかぶった鬼の面を真っ二つに切られ、頭に怪我をおい、ほうほうのていで逃げ帰ったそうな。

翌朝、恒平は何も気づかないまま、鏡村の庄屋からの返事を無事に持ち帰った。そうして、鬼を退治した名刀青江祐定の切れ味を庄屋に報告したそうな。

それ以来、庄屋は人をからかって喜ぶことをしなくなったという。そうして、これはきっと名刀青江祐定の魂が、竹光に乗り移って庄屋を懲らしめたのじゃろうと、後々、村人たちは噂し合ったということじゃ。

(投稿者: ニャコディ  投稿日時 2012-12-31 16:01 )


地図:高知市土佐山中切(地図は適当)

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