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カサカサとコラマタ(かさかさとこらまた)

放送回No.1062(0670-A)
放送日1988年10月08日(昭和63年10月08日)
クレジット演出:細谷秋夫 文芸:沖島勲 美術:門屋達郎 作画:細谷秋夫
ナレーション常田富士男

あらすじ

むかしむかし、沖縄のある浜辺に一匹のヤドカリが住んでおって、ある日、山に遊びに出かけたんじゃと。ヤドカリは、常日頃、人間には「人間」と言う名前の他に、「マサリヤ」とか「ウナリ」とか、それぞれ自分の名前があって良いなあと思うておった。

「おらにも名前があると良いんじゃがなあ……。」と考えながら、ヤドカリは山道を歩いていった。ふと気付くと、ヤドカリが歩くたび足元の落ち葉がカサカサと音をたてておった。「そうじゃ、おらの名前はカサカサじゃ!」ヤドカリは喜んで、また元気に歩いて行った。

しばらく行くと、ヤドカリはネズミに出会うたので、早速名前を尋ねてみた。じゃが、ネズミが「人に名前を聞く時には、まず自分が名乗るもんじゃ。」というので、ヤドカリは「おらの名前はカサカサじゃ。」と名乗った。なるほど確かに、ヤドカリが歩くたびに、落ち葉がカサカサと呼んでおった。

それを聞いて、実は名前など持っておらんネズミは困ってしもうたが、とっさに、「わしの名前はコラマタじゃ。村の人間は皆、わしのことをコラマタと呼ぶんじゃ。」と答えた。そこで、その名前が本当かどうか確かめるために、ヤドカリとネズミは村へ降りて行った。

そうしてネズミは、一軒の家の屋根裏の柱を齧り始めた。ネズミが大きな音で柱を齧り続けると、家の者が怒って「こら、また!こら、また!このネズミめが、柱を齧りおって~!」と天井をつつきながら叫んだ。「どうじゃ、わしは、ほんにコラマタじゃろう?」こうして、ようやっとヤドカリは納得したそうな。

それからというもの、ヤドカリとネズミは行き会うたびに、「カサカサ」「コラマタ」と呼びおうては、他の者達を羨ましがらせたということじゃ。まあ、ネズミやヤドカリにも、それぞれ人間みたいに名前があってもおかしくないもんなぁ。
 

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2012-5-4 9:01)


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