昔、ある所に腕の立つ若い大工がいました。この男は頭が禿げていたので、周りからいつもからかわれていました。
ある日のこと、棟梁の末娘を嫁にもらいましたが、ハゲが恥ずかしくて嫁に顔を見せられませんでした。そこで嫁は、亭主の頭をなんとかしようと近くの権現様に願掛けに行く事にしました。祠(ほこら)の前で「亭主に毛を生やしてくれれば金の鳥居を建てます」と、一心に祈りました。
やがて、嫁の願掛けが通じたのか亭主の頭に毛が生えてきました。嫁は、毛の生えたお礼にと木綿針で作った小さな金の鳥居を権現様にお供えしました。これを見た神様は「こりゃあ一本とられたわい」と笑いました。
髷(まげ)が結えるようになった亭主は、もう何も気にやむ事もなくなり、仕事に打ち込み棟梁にまでなりました。髪が生えたのは女房のお陰と感謝して、夫婦は末永く仲良く暮らしました。やがて夫婦はお金を貯めて、金ではないけど立派な鳥居を建ててあげました。
(紅子 2011-11-29 1:47)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 新潟県 |
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