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小僧がま(こぞうがま)

放送回No.1022(0644-A)
放送日1988年04月09日(昭和63年04月09日)
出典島根県
クレジット演出:若林常夫 文芸:沖島勲 美術:渡辺由美 作画:若林常夫
ナレーション市原悦子

あらすじ

昔、島根の広瀬から富田川(とだがわ)沿いに少し山に入った所に、布部(ふべ)という小さな村があり、ここには清兵衛という鍛冶屋の爺さまが住んでいた。

ここら辺りの土は硬く、小石も混じっているので、畑を耕していると鋤や鍬の刃がすぐに欠けてしまう。そこで清兵衛爺さんは、どうにか村人のために刃こぼれしない鋤や鍬を打てないものかと考えていた。

爺さまは、村から少し離れた目谷(めいだに)の山の中に小屋を作って、そこを仕事場にしていた。ここで爺さまは、強い刃を打つべく樫、ナラ、松など色々な木を使って炭を作ってみたが、どれも火力が足りず、刃に上手く焼きが入らなかった。

そんなある夜のこと、爺さまが仕事をしていると、どこからともなく一人の小僧が現れ、小屋の入り口に太い木の枝を置いたかと思うと、またすぐに暗闇の中に消えてしまった。そして、そんなことが何日か続いたある晩、この不思議な小僧は爺さまにこう言った。「この椿の枝を使って炭を作るといい。そうすれば、硬くて火の勢いの強い炭が出来るよ。」

爺さまが小僧さんに言われた通り、この椿の枝で炭を作ると、たたらの火は勢いよく燃え、焼きの入った強い刃が出来た。爺さまは鍬を完成させると、何を思ったか、隣にある椿原へと入って行った。ここには、椿の古木がたくさん生えており、その中でも一番古い木の前に爺さまがやってくると、何と木の枝は全て切り取られている。

そして爺さまが木を見上げると、木の上には小屋に来たあの小僧が立っていた。小僧が爺さまに言うには、自分はこの椿の木の精で、爺さまが一所懸命に鍬や鋤を打っているのを見て、手助けしたかったのだそうだ。それで、自分の枝を切って、爺さまに分けていたのだ。爺さまはこれを聞いて、手を合わせてこの椿の古木に感謝した。

それからと言うもの、小僧が毎夜現れた爺さまの窯は、小僧がまと呼ばれるようになった。また、椿の古木は村人たちによって大切に祭られ、今でも春になると白い一重の花を、枝いっぱいに咲かせるのだそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-8-5 16:35)


参考URL(1):http://www.ogaki-tv.ne.jp/~jinia-10251/sirotubaki.html
地図:安来市広瀬町布部(地図は適当)

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