放送回 | No.1008(0635-A) |
放送日 | 1988年02月06日(昭和63年02月06日) |
出典 | 水澤謙一(未来社刊)より |
クレジット | 演出:若林忠生 文芸:沖島勲 美術:西村邦子 作画:久保田彰三 |
ナレーション | 常田富士男 |
昔あるところに3人の若者がおった。一人はいつも鼻水を垂らして鼻をこすっている「鼻ったれ」、もう一人はいつも目やにが出ていて目をこすっている「目病み」、そして最後はいつも背中をかいている「しらみたかり」であった。この3人はとても仲良しであった。
ある日のこと。「鼻ったれ」と「目病み」が山へ行ったところ、先に山へ行っていた「しらみたかり」とお堂の前で会った。「しらみたかり」はアケビを取ってきてくれた。それを3人でお堂の前で仲良く食べているときに、ふいに「鼻ったれ」がそれぞれのくせを我慢する、我慢比べをやることを提案した。
一番最初にくせを出したものが負けとなり、隣町まで酒を買いに行く、というものである。3人はくせを我慢して、お堂の前に座り込んだ。それを見たうさぎのわなを仕掛けて帰るじいさまに「なくて七癖。誰にでも癖はあるものじゃ。あまり我慢するでないぞ」と声をかけられても、そのまま我慢を続けるのであった。
3人はくせを我慢するのが苦しくて、いつの間にかお堂の近くの羅漢様のところまで移動してしまっていた。それでも我慢比べは続いていた。みんな体を震わせくせを我慢をしていた。
3人はとんびが空高く気持ちよく飛んでいるのを見つけた。すると「鼻ったれ」はとんびを矢で射るまねをしながら、鼻をこすった。「くせをうまくごまかされた」と気が付いた「目病み」は「そんなことをしたら、とんびがかわいそじゃ」と言って、泣きまねをしながら目をこすった。すかさず「しらみたかり」も「いや、とんびは助かった。そして空を気持ちよく飛んでいくのじゃ」と、空を飛ぶ真似をしながら、背中をかいた。こうして3人の我慢比べは終わった。
くせを無理に我慢したことが良くなかったのか、3人はその後3日間眠ったということである。そしてそれからは、くせを我慢するようなことは決してなくなった。「なくて七癖」。誰にでもくせはあるものじゃ。
(投稿者: カケス 投稿日時 2013-10-29 21:20 )
地図:古志郡山古志村池谷(現在の長岡市山古志南平の池谷地区、地図は適当) |