美濃の民話 第一集(赤座憲久,1973年09月10日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。
昔、奥美濃一帯にちっとも雨が降らない夏がありました。
そこの五町という村は、近くを流れる長良川より高い位置にあるため、畑は段々畑でした。だから、畑では観音山から流れる清水と雨水だけが頼りでした。
日照りが続き、困った村人たちは庄屋の与平治と相談して、雨ごいをする事にしました。雨ごいの方法は誰も知らなかったので、一人の年寄りが子供の頃に聞いたという「諏訪神社に藁で作った竜をそなえると良いらしい」という方法をとることにしました。
長さ三間、胴回り三尺ほどの竜をワラで作り、諏訪神社の拝殿に一晩寝かせて、翌朝お酒を竜に飲ませました。それから竜を拝殿からかつぎ出し、長良川の岸に運んで雨ごいの祈りをしながら大矢渕に沈めようとしました。
すると竜はむっくり跳ね起きて、自分でざんぶり渕へ飛び込んでいきました。やがて、まっ黒な雲がやってきて大雨を降らし始めました。待ちに待った雨に大喜びしたのもつかの間、三日四日と雨が降り続けると、逆に大水の被害が恐ろしくなってきました。
村人たちは「神様の考えも聞かず、無理な雨ごいをしたから怒っているかもしれない」と考え、皆で諏訪神社の拝殿でお詫びしながらお祈りしました。
半日ほど祈っていると、黒い雲はだんだんと薄れ、大矢渕から竜が空に向かって登っていきました。雨が止んで村人たちは胸をなでおろしました。
この時の洪水により、村の段々畑は平らになって、よく肥えた広い畑になりました。それからは、もう雨ごいをしないようになったそうです。
(紅子 2014/4/13 0:07)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 美濃の民話 第一集(日本の民話51),赤座憲久,未来社,1973年09月10日,原題「雨乞いの藁の竜」,採録地「郡上郡」,話者「木島泉、猪又えつ」 |
場所について | 郡上市八幡町五町4丁目(地図は適当) |
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