山姥と旅役者
...何かしないと生きて帰れないと思い「わしは化けるのが得意じゃが」と答えた。それを聞いた老婆は喜んで、ぜひ化けてみせてくれと言った。 旅役者はもうこうなったらと腹をくくり、つい立ての向こうで商売道具の入った包みを取り出した。狐の面を取り出し、狐の嫁入り踊りを披露した。旅役者次々と面や着物を変え、色々なものに化けてみせ、老婆は大喜びした。 やがて空が白々としてきて、旅役者の芸も尽きたと思われる頃。老婆は礼を言うと、あっと言う間に姿を消してしまった。それと同時に家も消えてしまっていた。 旅役者はしばら...