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辰子姫物語 についてのコメント&レビュー投稿
昔、院内(いんない)の里に辰子という一人の娘がいた。辰子は野山を駆け巡り、自然にはぐくまれて育ち、やがて美しい娘になった。しかしそんな辰子は、まだ自分の美しさに気づいて...…全文を見る

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Re: 辰子姫物語
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2013/3/3 1:16

しかし辰子は眠れなかった。辰子はむっくり起きあがると足音を忍ばせながら、寝ている娘たちのそばを離れ、ただ一人で森の奥深く分け入って泉を探し求めるのであった。いくつもの森林の中を探し、とあるこんもりとした小森を横切ろうとしたとき、さらさらという流れの音を耳にした。辰子が近づいてみると、きれいな小川で、今までに見たこともないきれいな小川で、今まで見たこともない珍しい魚がいっぱい泳いでいた。辰子は白い手を延ばして、その数匹をすくい上げ、持って帰り、三人の娘たちと昼の食事に食べようとさっそく串に刺して焼きはじめたのである。
魚が焼けはじめると、その匂いはとてもおいしそうで、つい、こらえきれず一匹を食べてしまいました。その味のよいことはたとえようもなく、二匹、三匹。とうとう辰子は一人で全部食べてしまいました。
すると、急にのどが渇き、我慢できないほどになったのです。

辰子は、水を求め夢中で谷間をかけ下りたのである。のどの渇きはいっそう激しくなり、辰子はさらに深く谷間に下りていくと、真っ青な苔の生えた谷間からきらきらと光を含んでわき出ているものが目に映ったのである。
「あっ!泉だ!」
水は苔むした岩陰からこんこんと湧きだしているものであった。走りよった辰子は、白い手をさしのべて一口飲んだ。二口、三口と飲んだが、飲んでも飲んでも、のどの渇きは増すばかり、ついには何もかも忘れ、青い苔岩の上に腹ばいになって、丹い唇を泉につけてごくごくごくごく、と、心ゆくばかりに音さえたてて飲み続けたのである。
そして、どの位どの位飲み続けたのであろう。泉の水の美味さに酔うがごとくに泉も枯れよとばかりに飲み続けているうちに、どうしたことか、辰子は目がくらみ、気が遠くなり、体の中の血が逆流するかのように異様な感におそわれると、みるみる辰子の美しい姿が、岩の上に腹ばいになったまま恐ろしい蛇体へと変わっていった。
すると、今まで麗らかだった春の日が一転にわかにかき曇り、天地もさけるかのような稲妻、地鳴りや雷の音がとどろき、篠をつくような豪雨が降り出し、山は崩れ落ち、谷は裂け、山の形はみるまに変わっていくのであった。
こうして谷が埋もれて満々と水をたたえた湖水が現れ、世にもまれなほど美しかった辰子は蛇体となって、ついにこの湖の底に姿を消していったのである。

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