目次
くせえと狐,瘤とり爺さん,三枚のお札,中将姫,和尚の化物退治,欲深い婆さんの話,八日の浜,鶴の生き血,キツネ退治の話,岩倉の力持ち,カッコー,山姥の話,魔奥の話,狐の恩返し,すもう小僧,枕がえし,つつじと恋,出会い淵のごうら,身代わり観音,鼻きき源助,金のにわとり
巻末に掲載されていた「話者名」一覧
佐々木重義(岩手県)、菅原たまよ(宮城県)、羽染はな(福島県)、平永八重子(千葉県)、石井千城(東京都)、吉川幸太郎(神奈川県)、笠原政雄(新潟県)、三島藤市(福井県)、江原重吉(京都府)、上田弥一郎(大阪府)、谷口鉄蔵(兵庫県)、鈴木文蔵(和歌山県)、岩崎芳幸(和歌山県)、井吹高志(岡山県)、白根英之(広島県)、西崎憲志(徳島県)
里の語りべ聞き書き 第09巻 読んだ感想というかメモ
- くせえと狐
- 話者:佐々木重義(話者リストより)
- アニメと同じストーリー。小さな差異は、いきなり木こりの弁当強奪作戦のシーンから始まる点と、氷によって動けなくなった狐は人に見つかり袋叩きにあった、という点。
- 瘤とり爺さん
- 話者:佐々木重義(話者リストより)
- 豆つぶころころ(0010)とこぶとり爺さん(0001)の合体した感じ。前半が豆つぶころころで、後半がこぶとり爺さん。
- 三枚のお札
- 話者:菅原たまよ(話者リストより)
- 三枚のお札(0043)の類話。山姥じゃなくて鬼婆が登場する。ストーリーは、栗を自ら拾いに行きたいと言い出した小僧さんを心配して、和尚さんがお札を持たせた。鬼婆からどうにか逃げきった小僧さんは、和尚さんの知恵で釣鐘の中に隠してもらった。和尚さんは、小石を真っ赤になるまで炒って、それを鬼婆の口に放り投げた。それにより口から腹から焼けて鬼婆は死んだ。
- 中将姫
- 話者:菅原たまよ(話者リストより)
- 昔、ある中将さまとその娘がいた。いつも継母に苛められ、とうとう家来に命じて雲雀山で切り殺されそうになったが、雷が落ちてきて家来は死んだ。姫は助かったと思いきや婆羅門天(ばらもんてん)が現れ、唐天竺の果てまで連れ去られた。このことを知った中将さまは姫を助け出し、一踏みすれば千里を走る「一潟千里の車」で逃げ出したが、婆羅門天も一踏み二千里の車で追いかけてきた。いよいよ捕まりそうになると、稲妻が婆羅門天の車を撃ち落とした。こうして無事に屋敷に戻ってきた中将さまは、後添えを追い出し姫と幸せに暮らした。
- 和尚の化物退治
- 話者:羽染はな(話者リストより)
- なぞなぞ問答する化け物の話。寺に出てくる化物の問いに、見事に答えた和尚さん。翌朝、五問の答えに登場した化け物を村人たちと一緒に退治した。ちなみに「1.大きな蟹」「2.南の池にいる大きな鯉」「3.北山の老狸」「4.西の竹やぶに住む三本足の鶏」「5.東の野原に転がっている女の生首」が、化け物の正体。両足八足大足二足(0984)と同じジャンル、類話とまではいえないけど。
- 欲深い婆さんの話
- 話者:羽染はな(話者リストより)
- 地獄の人参(0943)の類話。この人参とは、薬にするための人参です。欲深の婆さんは、病気で困っていた隣人に糸のように細い人参を半分だけ分けてやった事が、唯一の良い行いだった。死んで地獄に落ちて釜茹でされそうになった時、天人さまに命乞いした。天人は小さな人参を垂らして引き揚げようとしたが、婆さんは他の罪人を振り払うために暴れたため途中で人参が切れてしまった。ここで初めて婆さんは「もっと太くて立派な人参をあげれば良かった」と悔いた。
- 八日の浜
- 話者:平永八重子(話者リストより)
- たこの足(0738)にちょっと似てる。両親のいない貧しい兄妹がいて、兄は妹にお腹いっぱいに食べさせてあげたいと思っていた。ある時、海の中の岩場でオオダコを見つけ、格闘してどうにか丸太のような足を1本ちぎり取った。翌日も1本また1本と、とうとう7本の足をもぎ取った。8日目になり、村人や妹が止めるのも聞かず、兄は蛸をとりに行ったがとうとう帰ってこなかった。この浜を「八日の浜」と呼ぶようになった。
- 鶴の生き血
- 話者:石井千城(話者リストより)
- 名奉行の話。親孝行の息子が、病気の母のために、病気が治るという「鶴の生き血」を飲ませた。しかし鶴を殺すと死罪だったため、息子は奉行所に捕らえられた。お奉行さまは親孝行な息子のため「あの鶴はもともと怪我をしてもう死ぬところだった」と勝手に裁判を進め、息子を無罪放免にした。
- キツネ退治の話
- 話者:石井千城(話者リストより)
- 働き者の若者に取り憑いた狐を退治すべく、村人たちが狐退治を行った。どうにか小さな針箱へ狐を閉じ込めたが、この後どうすればいいのかわからなかった。そこで相談して、多摩川対岸の村にいる「キツネ使いの男」に説教してもらうことにした。狐は改心して、このキツネ使いのところで使われるようになった。
- 岩倉の力持ち
- 話者:吉川幸太郎(話者リストより)
- セミとカマキリの夫婦(0687)にちょっと似てるかな。岩倉に住むものすごい力持ちの男に、力比べをするためにやってきた男がいた。あいにく不在だったため家の中で待たせてもらっていたが、その間に鉄の火箸をぐにゃぐにゃに曲げてしまった。待ちきれずに男が帰った後に、岩倉の力持ちが戻ってきて、その火箸をまっすぐ元に戻した。今でもこの岩倉の力持ちが住んでいた家の近くには、この男が持ち上げたという「手持ち石」という巨石が残っている。
- カッコー
- 話者:笠原政雄(話者リストより)
- くらっ子鳥(0285)の類話。幼い子どもと母がいました。子供の名前は「カッコー」。夕方、仕事から帰ってきた母は、子供がいなくなっていることに気がついた。泥で汚れたモンペを片方ひっかけたまま、母は焦って「カッコー、今帰ったよ」と呼ぶが返事がない。必死になって山や川べりを探し回ったが見つからず、とうとう母親はカッコーカッコーと鳴く鳥になった。だからカッコーは、汚れたモンペを片方ひっかけたままのような(片方の脚は白く片方は黒い)姿となっている。
- 山姥の話
- 話者:三島藤市(話者リストより)
- くわず女房(1257)の類話。九死に一生を得た男は、これに懲りて人が変わったように仏と呼ばれるほどの良い人になった。アニメくわず女房との差異は、菖蒲の葉に関するエピソードは書かれていない。
- 魔奥の話
- 話者:江原重吉(話者リストより)
- 狐の恩返し
- 話者:上田弥一郎(話者リストより)
- すもう小僧
- 話者:谷口鉄蔵(話者リストより)
- 枕がえし
- つつじと恋
- 出会い淵のごうら
- 身代わり観音
- 話者:井吹高志(話者リストより)
- 鼻きき源助
- 話者:白根英之(話者リストより)
- 金のにわとり
- 話者:西崎憲志(話者リストより)
※この書籍情報は、紅子が国会図書館の蔵書を借りて読んで、お話の内容や情報をメモったものです。話者名は巻末に出身地とともに紹介されていて、お話の採録地と照らし合わせたものです。(2012年8月現在)