目次
千石原と孝行豆の木,河童の骨つぎ,おしらさま,さるとかえる,屁ったれ嫁ご,風呂をふれて歩く狐,風呂をふれて歩く狐:余談,三国の権現さま,砂まき峠の狐,うさぎとくま,うさぎと狐,曲り家の起こり,田べそ,貧乏の神,はしけ流し,う捨てが山,甚兵衛さまとシンプクリン,火つけの親玉,鳥になった傘屋の話
巻末に掲載されていた「話者名」一覧
佐々木重義(岩手県)、鈴木サツ(岩手県)、菊池嘉七(岩手県)、奥寺正(岩手県)、原沢とらみ(群馬県)、関つる(群馬県)、前田治郎助(千葉県)、上山秀之(石川県)、杉本とみ子(福井県)、西昭朗(福井県)、江原重吉(京都府)、山下中雄(鹿児島県)、真咲美岐(大阪府)
里の語りべ聞き書き 第02巻 読んだ感想というかメモ
- 千石原と孝行豆の木
- 話者:上山秀之(話者リストより)
- 河童の骨つぎ
- おしらさま
- お蚕さま(No.0524)の類話。娘を取られた気がした父親が怒って、飼っていた馬を山に連れだし、生きたまま皮をはぎ、半分くらいまではいだところで馬は死んだ。娘は、はいだ馬の皮につつまれて天に舞い上がった。しばらくしてから娘が夢枕に立ち「3月14日にうすの中に白い虫がいるから」と告げた。それが蚕であった。馬をつるして殺した桑の木で娘の顔と馬の頭を作って祭ったのが「おしらさま」だそうだ。良いこと悪いことが起きる前に知らせてくれ、養蚕の神、眼の神、女の病の神、でもある。
- さるとかえる
- 猿とどんびき(No.1005)の類話。アニメとの差異は、餅は木じゃなくてイバラにひっかかっていた。餅をほしがる猿に、カエルはアツアツの餅を猿の尻に貼り付けたので、猿の尻は赤くなった。
- 屁ったれ嫁ご
- 昔、飯を食わぬ嫁をもらおうと、口がない女を探して嫁にした。でもこの嫁は飯も食わないが働きもしなかった。ある時、誰もいない留守の間に、飯を頭の後ろにあった口から生米をもりもり食っていた事が判明した。追い出そうかと姑が思案していた時に、嫁に「体調でも悪いのか」と尋ねると「実はおら屁がしたい」と回答があり、この後は屁ひり女房(No.0150)と同じストーリー。
- 風呂をふれて歩く狐
- 話者:江原重吉(話者リストより)
- 昔はお風呂を沸かすというのは大変な重労働でした。だから、風呂を沸かした家があると「今日は風呂を沸かしたでえ」と近所に言って歩く。すると近所のみんながもらい風呂にやってくる、という感じで、いわばお風呂はご馳走といった感じで貴重だった。キツネが、このふれ歩きを真似て「お風呂を沸かしたでー」と、村人たちを騙し、池に入れたり川へ入れたり古池にいれたり肥溜めにいれたりした。しかし、狐と見破る方法を旅の坊さんに聞いてからは、もう騙されなくなった、その後あまり狐を見なくなった。
- 風呂をふれて歩く狐:余談
- この「風呂をふれて歩く狐」の余談として追記されているお話。この狐は、本当にものを言うらしかった。村人の「松やん」が酒を飲んだ帰り道、田んぼに移った月を見て家が火事だと勘違いしたりしたそうな。
- 三国の権現さま
- 砂まき峠の狐
- 話者:江原重吉(話者リストより)
- うさぎとくま
- 実際には、アニメよりひどいウサギです。おままごとをすると騙して、小屋を二人で作り、熊を小屋に閉じ込めて外から火をつけた。しかも、大火傷をおった熊にカラシ味噌を塗りつけた。後日、舟遊びをしようと誘い出し、熊を泥船に乗せておぼれさせた。牛の金玉はうまいとウソを言い、熊が金玉をにぎったら、牛に蹴られてそのせいで熊の目が小さくなった。アニメではウサギの耳が長くなった理由が描写されていますが、このお話には特にそんな描写はない。今でもウサギは、熊を見たら一目散に逃げ行くそうです。
- うさぎと狐
- 焼畑を荒らされて困っていた村人たち。またまた田んぼを荒らされ、そこには木札が立ててあった。「荒らしたのはウサギやないで、キツネやで」ほんまにずるいウサギやで。
- 曲り家の起こり
- 昔は、男女の目合(まぐあい)には神様のお許しが必要だった。神様があらゆる動物たちの回数を決めた時に、馬は年に一回だったため馬は神様を蹴とばした。痛い痛いと神さまが言っている間に、人間が「オラたちは年に何回か?」と聞いたため、神さまは「何回でもいい」と答えた。年に何回もエッチできるのは馬のおかげだと感謝して、人間は馬を大切にした。だからこの地方では、母屋から見える位置に馬小屋をつくる「曲り家」という建て方をするそうです。
- 田べそ
- 話者:江原重吉(話者リストより)
- アニメと同じストーリー。
- 貧乏の神
- 話者:上山秀之(話者リストより)
- 貧乏ゆえに喧嘩が絶えない一家の話。家相が悪いかと考えた一家は、引っ越しを考えていたら、貧乏神が現れて自分も一緒について行くという。貧乏神は笑いが絶えない一家が嫌いで、喧嘩ばっかりの一家が好きなんじゃて。
- はしけ流し
- う捨てが山
- 話者:山下中雄(話者リストより)
- タイトルは正しい、うすてがやまです。
- 甚兵衛さまとシンプクリン
- 火つけの親玉
- 話者:前田治郎助(話者リストより)
- 明治の末期ごろの話
- 鳥になった傘屋の話
- 話者:真咲美岐(話者リストより)
- 鳥になった傘屋(0578)と同じストーリー。アニメの出典元には書籍名が明記されておらず、人物名のみ書かれています。紅子がいろいろ見ている限りでは、この真咲美岐は一般人で民話を語ったお婆ちゃんじゃないかと予測しています。一般人ならば、他で書籍化されているとも考えにくいので、とりあえずこの本が出典元として考えても良いと思います。
※この書籍情報は、紅子が国会図書館の蔵書を借りて読んで、お話の内容や情報をメモったものです。話者名は巻末に出身地とともに紹介されていて、お話の採録地と照らし合わせたものです。(2012年8月現在)